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2007年02月07日(水) 22時10分

弁護士の名義貸し、衆院議員・西村真悟被告に有罪判決読売新聞

 弁護士資格のない人物に名義を貸し、違法な報酬を受け取ったとして、弁護士法違反(名義貸し)と組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)の罪に問われた衆院議員・西村真悟被告(58)の判決が7日、大阪地裁であった。中川博之裁判長は、弁護士法違反罪について「弁護士に対する信頼を裏切り、衆院議員の犯罪としても社会的影響は大きい」と述べ、懲役2年、執行猶予5年(求刑・懲役2年、罰金100万円、追徴金約836万円)を言い渡した。しかし、同処罰法違反罪については「法の適用対象外」として無罪とした。

 西村被告は、知人で無職の鈴木浩治被告(53)(公判中)が1998年6月〜2004年5月、計45回にわたり、交通事故の示談交渉など無資格の弁護士活動(非弁活動)を行う際、弁護士名義を使わせた。また、02年12月〜04年10月、鈴木被告が非弁活動で得た犯罪収益のうち計約836万円を受け取ったとして起訴された。

 判決で、中川裁判長は弁護士法違反について「労せずして年間500万円程度の金が手に入り、政治資金に使えるとの利欲的な計算があるなど犯情は軽視できない」と指摘。執行猶予の理由として、利得の大半を返還していることや弁護士を廃業する意向を示していることなどを挙げた。

 一方、同処罰法違反罪について中川裁判長は、犯罪収益の資金洗浄(マネーロンダリング)の処罰を想定しており、収益収受の前提となる犯罪の実行行為者(共同正犯)間では資金洗浄の恐れがなく、同罪を適用できないと判断。その上で「被告は、自らの利益のために鈴木被告の非弁活動を継続的に利用しており、非弁活動の共同正犯と言え、罪は成立しない」と無罪の理由を述べた。

 判決について、大阪地検の清水治・次席検事は「一部主張が認められず極めて遺憾。判決内容を精査し、控訴する方針で上級庁と協議する」としている。

 西村被告は判決後、記者会見し、「痛切な反省とおわびの思いで判決を聞いた」と述べ、「(衆議院で議員辞職勧告決議案が可決されるなど)厳しい意見もあったが、議員を続けるという思いに変わりはない」と訴えた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070207i508.htm