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2007年02月07日(水) 13時43分

選挙事務所隠し撮りは「違法」、田中直紀議員側が勝訴読売新聞

 2004年7月の参院選の際、選挙事務所を隠し撮りされ、選挙運動を妨害されたなどとして、参院選新潟選挙区の田中直紀参院議員(自民党)と地元後援会代表がフジテレビジョン(本社・東京)を相手取り、計2500万円の損害賠償と謝罪などを求めていた訴訟の判決が7日、新潟地裁長岡支部であった。

 北村史雄裁判長は、「撮影は隠し撮り的なもの」とした上で、「選挙活動中という特殊な状況下で行われる撮影としては、正当な取材の範囲を逸脱する違法なもので軽率」として、フジテレビに対し、田中議員ら2人と後援会に36万円を払うよう命じた。

 判決によると、フジテレビは公示前後の6月下旬、新潟県長岡市の田中氏の事務所向かいにある民家1階や2階に外から気付かれにくいようにビデオカメラを設置し、入り口付近の様子を撮影した。

 北村裁判長は、〈1〉撮影は選挙報道の一環として行われたもの〈2〉撮影目的自体は不当ではないし、選挙活動を妨害する意図があったとも認められない——とした。

 しかし、1日に3〜6時間計6日間、無差別に撮影したもので、田中氏らに「精神的苦痛が生じた」と認めた。撮影した映像は報道されていないことから、プライバシーと肖像権の侵害は認めなかった。

 フジテレビ側は、妻の真紀子衆院議員の応援体制を知るための取材で選挙妨害ではないと否定していた。

 田中氏は「今回のフジテレビの行為は報道の自由のらち外にあることは明らか。選挙とその活動の自由が、報道の自由に名を借りた不当な人権侵害行為に踏みにじられてはならないことを示した画期的な判決」とのコメントを出した。

 フジテレビ広報部は「判決文を読んでからでないとコメントできない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070207i104.htm