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2007年02月07日(水) 00時00分

北、絵本パクリ→テレビで放送…その手口とは?ZAKZAK

 絵本が盗用されたのはポプラ社(東京都新宿区)が98年に発行した絵本「世界名作ファンタジー」シリーズの「ぶんぶくちゃがま」や「かもとりごんべえ」といった童話や昔ばなし。北は朝鮮中央テレビの児童向け番組の中で絵本を取り上げた。

 CGで作成した本箱から絵本が取り出され、1枚1枚ページがめくられていくが、絵はだれがどうみてもポプラ社の絵本そのもの。美人ナレーターが登場し、1冊丸ごと読み聞かせる内容だ。

 当然ながらオリジナルの表紙は日本語だが、北はくまなく日本語を消し去った上で、朝鮮文字に置き換えるという精巧な技術で改竄している。

 さらによーく目をこらして放送をチェックすると各所に改竄があることが判明。特に「ぶんぶくちゃがま」の回は顕著となっていた。

 朝鮮語で「踊る茶釜」といきなりタイトルが違うのはさておき、表紙のタヌキが右手に持つ扇子は「日の丸」だが、北は無地の扇子に差し替えていた。

 また、タヌキを助けた古道具屋が自宅に帰った場面の絵では、柱にある「火の用心」の張り紙、「いろはにほへと」とびょうぶに書かれたひらがな、酒瓶の「酒」という字−の3つをきれいに消去し、その上に原画に近い絵の具で塗り直されていた。

 別の絵の場合、オリジナルでは看板に漢字で「文福茶釜」と書かれているが、朝鮮文字で「おどるちゃがま」となっていた。番組はシリーズ化されており、盗用された絵本はかなりの数にのぼるものとみられる。

 ポプラ社の広報担当者は「現状で北朝鮮と契約はないし、放送での使用許可の問い合わせもない。よく調べて対応したい」と困惑した様子。

 北の経済に詳しい山梨学院大経営情報学部の宮塚利雄教授は「過去にも日本のテレビ局が放送した映像を無断で使用したケースがあった」と指摘した上で、「国交がないので何をやってもいいと思っている。偽札から始まって複製するのは北朝鮮の最たる技術」と語る。

 過去に何度も訪朝経験のある北ウオッチャーは「無断盗用はこれだけではない」と断言する。

 「北が独自で制作したアニメもあるにはあるが、過去にも日本の名作アニメを明らかにインスパイアしたものがあった。さらに平壌市内の遊園地には新幹線そっくりの乗り物があるし、ミッキーマウスの着ぐるみがいるという情報もある。無断で複製されたミッキーはキャラクターグッズとして北のチビっ子界では大人気だが、子供たちは敵国、アメリカのキャラとは露も知らない」

 北は03年4月、国際的な著作権の取り決めとなるベルヌ条約に加入した。条約では加盟国が他の加盟国の著作物にも著作権も保護をしなければならないという条文がある。北は条約に基づき、日本のテレビ各局に朝鮮中央テレビを引用した際の使用料を請求したという過去もあるというから、開いた口が塞がらない。 

ZAKZAK 2007/02/07

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007020710.html