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2007年02月07日(水) 00時00分

日興資金「短期市場で見かけない」日銀が不測事態警戒ZAKZAK

 銀行や証券会社などは必要に応じて、当座の決済用資金などを短期金融市場から調達してやり繰りしている。資金の出し手は、地方銀行、信託銀行、生命保険、投資信託などの運用会社だ。

 資金を取りにきている金融機関に問題がなければ、日銀が誘導目標にしている金利0.25%程度で貸し出されることになる。ところが、組織的に利益を水増しし、上場廃止のおそれがあるような金融機関に対しては、資金の出し手もお金を出したがらない。日興も昨年12月29日、短期金融市場で資金を調達しづらくなり、金融界に緊張が走ったことがあった。

 日興は上場廃止のおそれがある銘柄を取引する「監理ポスト」入りしたまま。資金の出し手も、相変わらず日興への資金融通を渋る状態が続いている。

 「気にかかるのは、短期金融市場で最近、日興の姿を見かけないこと。資金が取れないから現れないのか、資金を取る必要がないから現れないのかは分からないが」(銀行関係者)と市場参加者も不安げだ。

 もちろん、このことがすぐに日興の経営危機につながることはないとみられている。日興には、有価証券を自分の勘定で取引する自己売買部門があり、国債などを大量に保有している。

 「その国債を担保にして、市場から資金を調達することも可能だ。短期金融市場では、日興という会社の信用力で資金を調達するため、資金の出し手が引いてしまった。ところが、国債が担保だと、評価対象は日興ではなく、日本政府の信用力となるので、国債保有者が日興でも資金調達は可能になる」(同)

 短期金融市場を管轄する日銀も注意深く日興の動向を見守っている。

 「1997年11月、三洋証券が会社更生法の適用を申請し、短期金融市場にデフォルト(債務不履行)が発生。市場参加者の間に疑心暗鬼が広がり、運転資金のやり繰りに苦しんでいた北海道拓殖銀行が破綻し、山一証券も自主廃業に追い込まれ、金融不安へと発展していった。その経験があるだけに、日興の動向には注意を払わざるを得ない」(日銀関係者)

ZAKZAK 2007/02/07

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007020730.html