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2007年02月07日(水) 00時00分

児童手当などを詐取 朝日新聞

  不法滞在していた中国籍の親類の子を実子と偽り、児童手当などをだまし取ったとして、多摩署は6日、川崎市多摩区の中国籍の男(30)と日本人の妻(36)を、詐欺と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、横浜地検川崎支部に書類送検した。男と妻は06年7月に自首。「子どもに国籍がないのは可哀想だと思い、実の子として届けた」と供述し、先月までに全額を市に返還したという。

(佐藤正典)

  調べでは、男と妻は02年7月、男のいとこに当たる女性の子を実子として、多摩区役所に出生届を提出。06年5月までの約4年間に、出産一時金や児童手当など計約102万円をだまし取った疑い。

  同署によると、男は01年末ごろ、中国に住むおばから、都内に住む自分の娘が妊娠しており、「出産したら子どもは自分が育てるから、実子として届けてほしい」と頼まれた。妻の保険証をいとこに貸し、いとこが妻を装って出産したという。

  男と妻は出生届を提出する際、手当などの受給をいったん辞退しようとしたが、窓口で怪しまれたため申請した。2カ月後、成田空港でいとこから子どもを預かり、おばに送り届けた。いとことはその後、連絡を取っていないといい、不正受給した金は生活費にあてたという。

  多摩区によると、男らの不正受給額の内訳は、02年7月〜06年5月分の児童手当計38万円、出産時の出産育児一時金30万円、02年7〜9月までに発生した高額療養費約21万6千円と小児医療費約12万9千円。

  このほか、いとこらの出産や出産後の入院・通院などに伴い国保から医療機関に直接支払った約87万3千円が市の損害額となる。男と妻は先月までに、本人が受給していない87万3千円も含め、全額を返還したという。

  児童手当の支給について川崎市は、年1回、申請書類へのアンケート項目で「同居しているか」などを聞いているが、訪問して確認はしていない。市の実施する乳幼児の健康診断や予防接種も強制ではないため、担当者は「小学生になるまで、本当に存在しているかどうかを確認するのは難しい」と話している。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702070004