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2007年02月07日(水) 00時00分

イラク増派経費56億ドル計上 米国防予算朝日新聞

 米国防総省は5日、イラクの宗派間抗争の沈静化をねらった「新戦略」による約2万1000人の駐留米軍増派の経費56億ドル(約6770億円)を、07会計年度(今年9月まで)補正予算案の一部として計上した。一方、同日発表された08年度の国防総省予算案、総計6231億ドルの中では、戦闘機や艦船など高価なハイテク兵器にも目配りを忘れず、大半は調達を増やす方向だ。

 「増派はあくまで短期」との想定に立ち、現時点でこれ以上の増派経費は予想していないとう。だが、新戦略でも状況が好転しなければ、さらに戦費を追加計上する可能性が残されており、ベトナム戦争をすでに超えた対テロ戦戦費は、青天井となりかねない。

 国防総省で記者会見した統合参謀本部のスタンレー海軍中将は、「現時点では増派は比較的短期と想定しているが、それが正確かどうかは、今後分かることだ」と述べ、08年度についても同様に、補正予算で追加戦費を求める可能性に含みを残した。

 一方、08年度の国防総省予算本体では、近く調達を終えるニミッツ級空母の後継世代の新型空母1隻分として28.5億ドルが新たに計上された。空軍・海軍の次世代型の統合攻撃戦闘機(JSF)F35は、07年度予算で2機の調達分が計上されていたのに対し、12機分と飛躍的に増大する。海兵隊や空軍の輸送ヘリの後継で、沖縄への配備も計画されている垂直離着陸輸送機オスプレイも、07年度の16機から08年度は26機と伸びる。

 こうした「重厚長大」の兵器計画は、対テロ戦に限らず、将来の脅威に対抗する能力を維持するのがねらいだ。そこには、台頭する中国の軍事力への意識もちらつく。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702070005