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2007年02月06日(火) 00時00分

配備「国に決定権」 議会で住民投票審議朝日新聞

  米海軍横須賀基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案の審議が5日、横須賀市議会で始まった。署名した3万7858人の意思を議会がどのように判断するのか、注目される。

(其山史晃)

  市民団体からの直接請求を受けた蒲谷亮一市長が、市議会に条例案を提出。条例案は、原子力空母入港に必要な横須賀港内の浚渫(しゅんせつ)工事に関して予定される国との港湾法協議で、住民投票で示された意思を市長が尊重するよう求める内容だ。

  蒲谷市長は条例案を提出する際、(1)外交関係の処理は憲法で国の役割と規定されている。地方公共団体が国の決定に関与、制限することは認められない(2)市長は港湾法にのっとり、適切に協議を処理する。投票結果を尊重するように求める条例は法の趣旨に反する(3)原子力空母配備は国が判断すべき問題で市に最終決定権はなく、住民投票にはなじまず、条例制定の必要はない、などと主張している。

  この日の質疑では、港湾管理者の市長が持つ港湾法上の権限が主な論点となった。

  原島浩子議員(無所属)は「市長は港湾管理者が持つ権限を狭く解釈しているのでは」と質問。市長は「港湾法では、原子力空母が配備されるから、いいとか悪いとか言う権限は管理者にない。港湾機能や港湾計画を考える上で問題があるかどうか、という点において適切に判断する」と答弁した。

  また、井坂新哉議員(共産)は市長が05年の選挙で、原子力空母配備反対を掲げていたことに言及。「公約に反するときは、住民の意思を確認するのは当然。市長の原子力空母配備容認発言は、市民の信託を受けていない」と批判した。

  市長は、選挙の時には通常型空母配備の選択肢があったが、その後に可能性が無くなったとし、「反対するだけでは、何らの安全対策もとれないまま原子力空母が配備されてしまう」と、安全対策実施の必要性を強調した。

  議会後に記者会見した請求代表者の呉東正彦弁護士は「市長は『市民の意見を聞いてほしい』という声に背を向けている」と批判した。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702060005