記事登録
2007年02月06日(火) 00時00分

成田汚職初公判朝日新聞

 成田市の清掃工場の運転管理業務委託をめぐる汚職事件で、受託収賄などの罪に問われている前市長小林攻(おさむ)被告(64)ら3人に対する初公判が5日、千葉地裁(山口雅高裁判官)であった。3人は罪状認否で「間違いありません」と起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、小林前市長が、再三にわたり、管理会社TEC(松戸市)への便宜を職員に指示していた状況などを明らかにした。

 起訴後の保釈申請が認められなかった小林前市長は、黒のジャケットにグレーのパンツ姿。前TEC副社長近藤紀昭被告(48)=贈賄罪で起訴=は、着席する前市長の前で深々と頭を下げて入廷した。

 検察側の冒頭陳述によると、前副社長は99年の市長選の際に、前社長飯塚貴之被告(47)=同=の父の紹介で、前市長と面識を持った。03年に前市長が初当選すると、04年5月ごろに行われた1周年パーティーでは約50万円分のパーティー券を購入。また、前市長の選挙支援者が組織した「成田政経同友会」には事務員を派遣し、その給与を肩代わりするなどしていたという。

 前副社長は04年12月ごろ、小林前市長から電話で、いずみ清掃工場の運転管理業務が「(05年度から)入札になるかもしれない」と告げられた。同業務は同社の売り上げの約2割を占める。05年1月には市の担当職員から従来より約1億円安い積算価格を示され、「入札が嫌なら大幅な減額を」と言われた。このため、「引き続き随意契約で当社の納得いく金額でお願いできないか」と前市長に頼んだ。

 これを受け、前市長は同年1〜3月にかけて5回、担当課長らを呼び、「随意契約で進めるように」「相手を困らせずにまとめてやらないと駄目ではないか」などと指示した。

 最初のわいろは1千万円。前副社長が電話で「どれくらいお入り用ですか」「500万円くらいですか」と申し出たが、前市長が黙っていたところ、前副社長が「1本持って行けばよろしいですか」と提示。すると、前市長が「わかった。任せておけ。担当課にはくぎを刺しておく」と応じたという。

 05年度分の契約は同年3月24日に約2億3400万円でまとまり、前副社長は同26日に前市長に現金1千万円を手渡したという。

 入札導入を断念させられた市環境部は06年度分の契約についても、約1億8千〜2億円への削減を目指し、市議会での答弁などを試みようとした。しかし、前市長は「あまり下げすぎると今までが何だったのかとなる」などと大幅な減額を避けるように指示した。

 06年3月22日にまとまった契約額は同社の希望に沿った約2億2155万円。前副社長は同29日、「2億円の1%」にあたる現金200万円を前市長に渡したという。 前市長は2年間で受け取った計1200万円のわいろの大半を、過去の選挙の際につくった借金の返済に充てたという。

 また、検察側は提出した証拠の説明の中で、「前市長から毎月30万円の生活費を受けとって生活していた女性」の存在を明らかにした。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702060001