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2007年02月06日(火) 00時00分

「エコスクール」に挑戦朝日新聞

 エアコンに頼らずにどこまで学習環境を快適にできるのか。環境保護などを理由に、エアコンを原則導入しない方針の杉並区は07年度から、緑化や自然換気などを取り入れた「エコスクール」作りに挑戦する。移転改築工事に入る荻窪小学校(児童数約550人)から実施する。5日発表の07年度予算案に盛り込んだ。

 エコ化の目玉の一つが、「学校での導入は珍しい」(区教委)という地中熱を利用した「クールヒートトレンチ」。校舎の地面下約1・6メートルの空間に外気を呼び込む。地表に比べて夏は涼しく、冬は暖かい地下の性質を活用し、この空間で調整した空気を校内に流すシステムだ。

 また、校舎内にこもった熱を逃がすため、夜間、窓の一部が自然と開いて空気の通り道を作る「ナイトパージ」も実施する。

 このほか屋上や壁面、校庭の緑化や、直射日光を避けるために大きく張りだしたバルコニーを設置。気温対策だけでなく、雨水をためてトイレで流すのに使ったり太陽光発電をしたりする。

 試算によると、緑化では屋上が3度、壁面が1度、校庭が8度程度温度が下がる。「トレンチ」では約2度涼しくなる効果が期待できるという。

 区教委によると、23区内では、約20区が小中学校へのエアコン設置を進めているという。杉並区の場合、普通教室では幹線道路に面した2校だけだ。

 山田宏区長は「温暖化は世界的な問題。環境教育といいながら、校舎内を涼しくして外を熱くするのはおかしい」と説明する。

 区教委には、区側の姿勢を評価する声と、「子どもの健康、学習環境を考えて、導入して欲しい」という賛否両論が寄せられているという。

 09年3月完成予定の荻窪小の総建築費は約27億円。このうちエコ化にかかる費用は約2億5千万円だ。荻窪小での効果を見ながら、各校に広げていく考えだ。

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 同日発表された07年度予算案は一般会計1513億7700万円、前年度比10・8%増。特別会計を含めた総額は8・9%増の2734億5200万円。

 その他の主な事業は、ベビーシッターなどの有料子育てサービスが受けられる「杉並子育て応援券」(7億402万円)▽いじめなどの緊急課題に対応する「教育緊急対応チーム」新設(8150万円)

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702060001