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2007年02月06日(火) 00時00分

政調費 年度末に集中朝日新聞

 地方議員の調査研究のために公費からまかなわれる政務調査費は、翌年度に繰り越すことはできない。収支報告書をみると、「駆け込み消化」のように年度末の短期間に事務機器などを買い込む例も見受けられる。練馬区と品川区の公明党区議団の場合を収支報告書からみてみた。

 「音響施設が不十分な施設での区政報告会で使うフラットスピーカーなど」(49万8750円、支出日3月31日)、「パソコンと周辺機器」(19万2457円、同30日)……。06年3月、練馬区議会公明党(12人)が政務調査費から支出した事務管理費だ。

 同議会事務局によると、1人当たりの政務調査費は月額21万円で、会派に一括して支払われる。05年度の同会派の収支報告書によると、交付総額は3024万円。事務管理費はおおむね半分となる1561万3167円。うち3月分は約320万円で、事務管理費の2割を占めた。

 06年3月にはほかに、パソコン4台(周辺機器なども含めて89万5767円)や、プロジェクター3台(62万1300円)、デジタルカメラ2台(プリンター代なども含めて11万5410円)といった大きな支出が続いている。パソコンは05年度に購入した6台のうち4台が3月に。04年度は、8台購入したデジタルカメラのうち、5台が3月となっている。同年度は事務管理費の4分の1が3月に集中している。

 なぜ、年度末に支出が集中するのか。

 同会派の岩崎典子幹事長は「急な視察に行くため、政調費からの支出が必要となることもある。区議から購入の要望があっても、年度途中では、『待て待て』と先延ばしにせざるを得ない」と説明する。年度末には新年度予算案が焦点となる2月議会があるため、購入は議会閉会後の3月末になりがちだという。

 経理責任者の薄井民男区議は「計画性を持った方がいいのだろうが、実態としては難しい」。

 プロジェクターやパソコンなどは、個々の議員が使っていても会派の備品だ。同会派では「5万1円以上の物」については、03年から備品台帳をパソコンで管理し、共有しているという。

 品川区議会の公明党(7人)は04年度末の05年3月20日から31日の12日間で、パソコンなどの事務機器を購入した事務費として約107万円を使っていた。同会派の04年度政調費は総額1824万円。同年度は約71万円を返還しているが、事務費は約830万円で支出全体の47%を占める。

 収支報告書の「事務費」に添付されている領収書を見ると、05年3月20日・「パソコン一式」(約22万7千円)、同26日・「事務機器」(約24万2千円)、同28日・「事務機器」(約22万4千円)など高額な品物を続けて購入している。同30日には、家電量販店など2店から計約15万円分の品物の領収書、翌31日も2店から計5万3千円分の領収書が添付されている。領収書のただし書きなどには、「事務用品」や「シュレッダー」、「デジカメ周辺機器」などとある。

 同会派では、デジカメなどは個人で1台持っているという。会計担当の中島美恵区議は「パソコンは3年ほどで消耗する。必要なときに必要なだけ購入しており、それが年度末に重なっただけ。駆け込みという意識はない」と話す。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702060002