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2007年02月06日(火) 03時00分

北「違法操業?」のカツオとマグロで外貨、タイに輸出読売新聞

 米国の金融制裁を受けてマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の口座が凍結されて以降、北朝鮮が昨年1年間でタイに向けて冷凍のカツオやマグロ類を輸出し、26億円相当の外貨を稼いでいることが明らかになった。

 北朝鮮は世界のマグロ資源管理団体に所属しておらず、近海でもマグロ類を大量に漁獲できないことから、水産庁では「違法操業の疑いが強い」と指摘。制裁に苦しむ北朝鮮が、豊富な水産資源に目を付け、外貨獲得に乗り出している実態が浮上した。

 今回、明らかになったのは、北朝鮮の近海ではほとんど捕獲できないカツオやキハダマグロといった冷凍魚類の大量輸出。

 北朝鮮からタイへのカツオ、マグロ類の輸出は、03年から始まったものの、05年は974トンと極めて少なかった。しかし、金融制裁で口座が凍結された06年には、前年の18倍にもあたる約1万7400トンを輸出。

 内訳は、カツオが約1万4800トンで、約5億2400万バーツ(17億6600万円相当)、キハダマグロが約2500トンで、約2億4600万バーツ(8億3000万円相当)だった。

 現在、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)など五つの国際機関が、海洋のすべてのマグロ・カツオ資源を管理している。各機関は対象海域を決め、操業する場合、各国はそれぞれの機関に漁船を登録しなければならないし、仮に第三国が北朝鮮籍で操業する場合にも、北朝鮮が登録する必要がある。

 しかし、北朝鮮はいずれにも登録していないほか、好漁場とされる、太平洋の島国の排他的経済水域(EEZ)での操業を管理する「フォーラム漁業機関(FFA)」へも加盟していない。

 独立行政法人「水産総合研究センター遠洋水産研究所」(静岡市)では、「北朝鮮の近海でこれだけの量のカツオ、マグロを取ることは考えにくい」と話す。また、水産庁は、「カツオ、マグロ類は世界的に資源を管理している。北朝鮮の操業は違法の可能性が極めて高い」としている。

 違法操業が確認された場合、マグロ資源管理団体の加盟国すべての合意があれば、輸入を止める措置を取ることも可能という。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070206it01.htm