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2007年02月06日(火) 09時54分

損保10社超に改善命令へ 「第3分野」不払いで金融庁朝日新聞

 医療保険など「第3分野」と呼ばれる商品の保険金を損害保険会社がきちんと支払っていなかった問題で、金融庁は5日、損保48社のうち最大手の東京海上日動火災保険を含む10社以上に、月内にも行政処分を出す方針を固めた。処分は、内部管理態勢の向上を求める業務改善命令が有力だ。金融庁は、こうした「不適切不払い」を保険会社の構造的な問題とみており、経営責任の明確化も求める構えだ。

 大手では損保ジャパンやあいおい、日本興亜、ニッセイ同和の各損害保険も処分に含まれるとみられる。悪質な事例が新たに見つかり、業務停止命令になる可能性も残っている。すでに不適切不払いで06年6月に業務停止命令を受けた大手の三井住友海上火災保険や、件数が少ない会社への処分は見送られる見通し。

 処分対象となるのは、医療保険やがん保険、介護費用保険などの不払い。損保48社が昨秋、金融庁に報告した調査結果では、大手6社だけでも過去5年に計4365件、総額12億円の不払いが判明している。

 報告では、未告知の病気と契約後に発病した病気を十分に調べずに関係づけたり、販売員が「正確に病歴を告知しなくてよい」と誤った勧誘をしたりして、保険金を支払わない事例があった。一般的に、既往症を契約後に再発した場合や、正確な告知をしなかった場合は保険金が支払われないが、金融庁は損保側の不適切な対応が原因の不払いも多いとみている。

 金融庁は処分対象の各社に対し、苦情窓口の整備や経営トップが不払い状況を把握する体制の構築などを求める考えだ。

 金融庁は05年秋に不払いで損保26社に業務改善命令を出したが、その後も損保ジャパンや三井住友海上で大量の不払いが発覚して業務停止命令を出す事態となり、改めて自動車保険と第3分野保険の不払いを全社から聴取していた。各社が2〜6月に金融庁へ調査結果を報告する自動車保険の不払いでも別途、行政処分が出る可能性が高い。

http://www.asahi.com/business/update/0206/073.html