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2007年02月04日(日) 00時00分

定額制普及 検索機能強化  携帯サイト利用拡大 東京新聞

 携帯電話のインターネット市場が、無料サイトを中心に活況を呈してきた。その一端を示す携帯のネット広告市場は、二〇一一年に現在の三−四倍に当たる「千四百三十九億円規模になる」(野村総研)との予測もある。携帯ネットでも、会員同士の交流が可能なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や広告配信などの分野のサービス競争が激しくなりそうだ。 (経済部・桐山純平)

■高校生に人気

 高校生ら十代後半を中心に、熱狂的な人気を集める携帯サイトがある。ネットオークションを手がけるディー・エヌ・エー(DeNA、東京都渋谷区)が昨年二月に始めたゲームサイト「モバゲータウン(モバゲー)」だ。

 会員になると五十種類以上のゲームが無料で遊べる。日記をサイトで公開したり、「サークル」と呼ばれるコミュニティーを通じて利用者同士が情報交換できるのも人気の理由だ。開始から一年もたたずに会員は三百万人を突破。会員の拡大ぶりは、パソコン(PC)を使うSNSで優位に立つミクシィをも上回り、親の世代がまったく知らないうちに「全国の高校生の二割は加入しているのでは」(DeNAモバイル事業部)というほどだ。現実の出会いを目的にしたマナー違反やトラブルにつながらないよう、運営側も監視を迫られている。

 主な収入源は広告で、すでに黒字化。ニュースや天気予報などの掲載も検討し、「携帯版のヤフーのような存在になる」のが目標だ。

■PC並み簡単

 モバゲータウンは、通信料(パケット料)を除いた、利用が無料な「非公式サイト」だ。

 NTTドコモなどの通信会社が契約、認証した「公式サイト」は利用者が見つけやすい利点はあるが、閲覧料として月額数百円を取られる場合も多い。

 しかし、携帯会社間の競争で、昨年から携帯のネット検索機能が強化され、公式、非公式を問わず利用者がお目当てのサービスを見つけやすくなった。これがモバゲータウンのように非公式サイトの利用者急増につながった。

 さらにネットの使用時にかかるデータ通信の料金で「定額制」が普及し始めたことが、携帯によるネット利用を促した。「非公式サイト」にとっても、追い風になった。

■5分で作れる

 「携帯サイトの視聴は今後、若い世代から中高年に広がる」

 こう予測するのは、ネット関連企業のマイネット・ジャパン(東京都中央区)。同社は一月二十五日から、企業が無料で携帯サイトを作成できるサービス「ケイティ」を始めた。会社概要やアクセス方法などを入力すれば、五分ほどでサイトが完成する。同社は、ブログ作成料やクーポン発行などの付加機能を収入源にするという。

 上原仁マイネット・ジャパン社長は、携帯を取り巻く利用状況が「数年前のPCの状況に似てきた」と言う。多くの店がネット上で自前のサイトやブログを開設しているように、携帯サイトでも同様に自社サイトを持つ企業が増えるとみる。実際、「ケイティ」の場合もサービス開始から数日間で美容院や飲食など三百店がサイトを開いた。

 一方、サイトの閲覧が増えるにつれ携帯の広告市場も急拡大が見込まれる。携帯広告を手がけるシリウステクノロジーズ(東京都渋谷区)は、一昨年十一月、携帯ならではの位置情報に連動した広告配信「アドローカル」を完成した。衛星利用測位システム(GPS)などから携帯所有者の所在地を認識、それに関係した広告提供が可能だ。

 四月からは電通と共同で「コレどこ」という新サービスも行う。屋外広告やポスターなどにつけられたある商品のQRコードを携帯カメラで撮影し自分の位置情報をメールで送信すると、近くに所在する商品取扱店を知らせてくれる仕組みだ。

 「誰でも簡単に広告が打てるようになる」。シリウステクノロジーズの宮沢弦社長は、携帯広告の未来もPC同様、大きく発展すると予測している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20070204/mng_____kakushin000.shtml