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2007年02月04日(日) 13時58分

外国人研修制度、受け入れ団体・企業に不正多発読売新聞

 開発途上国の人材育成が名目の外国人研修・技能実習制度で、法務省が昨年1〜8月に認定した、全国183の受け入れ団体・企業の不正行為の詳細が、読売新聞の情報公開請求などで明らかになった。

 計17の事業協同組合などが、不正隠ぺいのため、入管に虚偽の監査報告書を提出していた。研修生らに申請内容と違う作業をさせていた団体・企業は計41。法務省指針で禁じられた残業をさせていた企業は50社を超えた。

 実習生を法定最低賃金以下の時給で働かせていた企業も33社あった。受け入れが認められていない人材派遣業者が団体と結託し、研修生を「安価な労働力」として働かせていたケースも発覚した。

 同省によると、開示された団体・企業を含めて、昨年1年間に不正行為を認定した団体・企業は計229にのぼり、過去最多だった2004年(210団体・企業)を上回った。

 同制度には、大企業が直接、受け入れる「企業単独型」と、事業協同組合や商工会、農協などが1次受け入れ団体となって中小零細企業や農漁業者に研修生らを配分する「団体監理型」がある。183団体・企業のうち、企業単独型は9社だけで、団体監理型が174団体・企業と95%を占めた。いずれの団体・企業も3年間、研修生の受け入れ停止の処分を受けた。

 開示文書と読売新聞の取材によると、高知県の事業協同組合は、企業の受け入れ枠が従業員数によって法務省令で定められていることから、企業数の水増しによる受け入れ枠拡大を計画。高松入国管理局に、県内の縫製会社7社に配分すると虚偽申請し、実際には3社に法定枠を大きく上回る計20人の研修生らを送り込んでいた。

 残る4社のうち3社はペーパー会社で、もう1社は、虚偽申請のために名義を貸しただけだった。

 1次受け入れ団体は少なくとも3か月に1回、企業を監査し、入管に報告することが義務付けられているが、同事業協同組合はペーパー会社を含む7社について「研修・実習は適正に行われている」と虚偽内容の報告書を提出していた。

 愛知県の事業協同組合は、受け入れた研修生らを別の人材派遣業者に管理させ、業者と契約する複数の企業に派遣労働者として送り込んでいた。

 同省はこれまで、不正行為を認定した団体・企業数と大まかな手口別の団体・企業数しか公表しておらず、開示文書でも団体・企業の特定につながる情報は非公開とされた。

 同制度を巡っては、見直し作業を進める政府が、研修生の法的保護や不正行為の罰則強化を盛り込んだ基本方針を3月末までにまとめ、09年度までに関連法案を国会に提出する方針を明らかにしている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070204it04.htm