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2007年02月02日(金) 00時00分

背後に盗品転売組織か 重文仏画窃盗 中日新聞

 国重要文化財(重文)に指定されている朝鮮半島の高麗時代(918−1392年)の仏画を盗むため、愛知、福井両県の寺が襲われた事件で、愛知県警国際捜査課と豊川署が強盗致傷容疑で逮捕した韓国国籍の無職金在七容疑者(48)が、兵庫県の寺で盗まれた仏画を寺側に買い戻させる話を持ちかけていたことが分かった。県警は金容疑者の背後に盗品の文化財を転売して稼ぐ組織が存在するとみて調べている。

 兵庫県加古川市の鶴林寺では2002年7月、仏画8幅が盗まれ、03年に韓国国籍の4人が日本と韓国で逮捕された。聖徳太子を描いた作品など7幅は戻ったが、高麗時代の重文「阿弥陀(あみだ)三尊像」は今も行方が分からない。

 愛知県警や寺側によると金容疑者は05年5月に鶴林寺を訪れ、「韓国で見た阿弥陀三尊像の仏画を買ってほしい。韓国で数千万円の値がついている」と買い戻しを持ちかけた。その10日ほど後、寺側がソウルを訪問。ホテルに手ぶらで現れた金容疑者が金だけ要求したため交渉は決裂した。交渉に当たった幹栄盛住職は「話しぶりから、今も仏画が韓国にあるのは間違いないだろう」と話す。

 韓国紙の報道などでは、仏画は鶴林寺から盗まれた後、韓国内で古美術品仲介業者ら6人に転売され、最終的に約4500万円の値が付いたとも言われる。金容疑者は愛知県警の調べに「韓国の賭博場で知り合った男から仏画を売る仲介を頼まれた」と供述している。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070202/mng_____sya_____021.shtml