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2007年02月02日(金) 00時00分

耐震偽装で休業のホテル 営業再開朝日新聞

 耐震強度偽装問題で休業中だった高山市花里町6丁目のビジネスホテル「カントリーホテル高山」が補強工事を終え、1日に営業を再開した。営業休止に追い込まれて約1年2カ月。やっとの思いでこの日を迎えた関係者らは胸をなで下ろした。(村瀬信也)
 この日、ホテルのロビーには営業再開を祝して贈られた花束が並んだ。宿泊客の予約は約20人で、従業員が早速、問い合わせなどに応対した。春の高山祭(まつり)の時期の予約は既に満室という。
 垂井博美オーナー(70)は「やっとここまで来られて、やれやれという気持ち。営業再開が地域の活力にもなると思う」と話す。
 テナントのレストランも同時に営業を再開。22日には1階のコンビニエンスストアも営業を再開する。
 同ホテルは、姉歯秀次元建築士が構造計算を担当していたことが発覚し、05年11月26日から休業。その後、耐震強度の偽装が判明し、補強工事を進めていた。当初は昨年10月の営業再開を目指していたが工事が遅れ、4カ月遅れの再スタートとなった。
 安全を確保しての営業再開を周囲の住民も歓迎する。近くで商店を営む男性(50)は「地震が起きたらと思うと心配だったので、工事を終えて一安心。駅前の建物が閉まっているのも寂しいので、営業が再開して良かったと思う」と話す。
 しかし、問題がすべて解決したわけではない。垂井さんは耐震強度偽装が発覚した他のホテルのオーナーらと共に06年5月、ホテル開業を指導された「総合経営研究所」(東京都)を相手取って指導料などの返還を求めた訴訟を起こし、係争中だ。垂井さんは「この事件を風化させてもらっては困る。このようなことが再び起きないように、しっかり法整備して欲しい」と話す。
 偽装を見抜けなかった県は、同ホテルの偽装発覚後、建築確認の審査体制を強化。県内5カ所の出先機関に非常勤の「構造計算専門員」を置き、新たな建築確認申請について県独自に構造計算の再計算をするなどして、再発防止を図っている。

http://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000000702020004