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2007年02月02日(金) 23時59分

産経、別の4シンポでも参加者動員朝日新聞

 最高裁などが主催する裁判員制度全国フォーラムで参加者を動員していたことが発覚した産経新聞社が、和歌山と大阪で開いた別の計4件のシンポジウムでも謝礼を払って参加者を動員していたことが明らかになった。同社が2日夜、記者会見して発表した。動員人数は計280人に上る。

 同社はこの日午後、1月29日に発覚した最高裁主催のフォーラムへの動員問題をめぐり住田良能社長を減俸30%3カ月とするなど10人の処分を発表したばかり。今回判明した4件のうち3件については前回の発表時点で事実を把握していたが、「詳細がわからないので発表しなかった」と説明している。

 今回動員が明らかになったイベントと人数は、和歌山市で開いた「モノ作り・人作り地域フォーラムin和歌山」(06年5月開催、中小企業基盤整備機構、産経新聞社など主催)100人▽河川のはんらんなどの災害対策について考える「防災・減災フォーラム2005 in大阪」(05年7月開催、産経新聞社、全国地方新聞社連合会主催、国土交通省など後援)15人▽「同in和歌山」(同)66人▽「Let’s シンポジウム裁判員制度を知ろう@和歌山」(06年12月開催、法務省、最高検察庁、産経新聞社など主催)99人。

 産経新聞社によると、いずれも同社が企画を提案し、事業費を主催者や後援者から受け取っていた。和歌山市で開いた三つのイベントは、同市内の広告会社を通じて販促会社に参加者の募集と宣伝を依頼。1人集めるごとに3000円の報酬が支払われた。大阪のケースでは人材派遣会社に1人あたり5000円で参加者集めを依頼した。

 こうした募集活動による参加者は計280人で、全参加者1075人の約4分の1を占めていた。費用はすべて大阪本社営業局が負担していたという。

 会見で同社は「本日発表した処分は新たな4件の問題も含めた一連の不適切な募集を踏まえたものだ」と説明。処分発表した時点で4件について触れなかったことについては「現在も調査中であり、詳細がわかった時点で発表するつもりだった。各方面から問い合わせがあったので発表に踏み切った」と話した。

 最高裁主催のフォーラムでは大阪で2件、和歌山で1件の動員が発覚。それぞれの営業担当者は今回のイベントも担当していた。

http://www.asahi.com/national/update/0202/OSK200702020106.html