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2007年02月01日(木) 15時16分

日興の水増し、06年3月期も?朝日新聞

 05年3月期連結決算での不正な連結対象外しで利益を水増しした日興コーディアルグループが、06年3月期連結決算でも連結対象から外した特別目的会社(SPC)から株式配当金を受け取り、約167億円の利益を計上していたことがわかった。このSPCは本来、連結対象に含めるべきだとの指摘もある。その場合は配当金はグループ内取引として相殺されて利益に計上できないため、利益の水増しだった可能性がある。

 日興は05年3月期決算で不正に利益を水増ししていたことを認めており、今年2月末までに05年3月期以降の決算を訂正する方針。06年3月期でも水増しがあった場合は、さらに大幅訂正の必要が出る。日興は訂正も視野に当時の会計処理の見直しを進めている。

 東京証券取引所は日興株を上場廃止の恐れがあるとして投資家に注意を促す「監理ポスト」に移しているが、新たな訂正が必要になると、上場廃止の懸念が強まる恐れがある。

 問題のSPCは、コールセンター大手・ベルシステム24の買収時に用いた「NPIホールディングス(NPIH)」。日興は企業会計ルールの例外規定を悪用して同社を連結対象から外し、05年3月期で約184億円の利益を不正に計上していたとして金融庁から5億円の課徴金の支払いを命じられた。

 06年3月期決算では、NPIHが、その親会社で日興グループの連結対象会社である日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)に240億円の株式配当金を出していた。日興は監査を担当する旧中央青山(現みすず)監査法人の指摘に従い、ベル社が保有する利益剰余金の範囲内の167億円をグループ連結決算の利益に計上。日興は「NPIHは保有していたベル株を親会社に売却したり、ベル社の自社株買いに応じたりしてすべてを手放して『抜け殻』となったため、会計ルールに基づいて06年3月期も連結対象から外した」としている。この処理に関し、日興の特別調査委員会(委員長・日野正晴元金融庁長官)の調査でも、06年1月の日興の監査委員会で利益計上について議論があったとしている。

http://www.asahi.com/business/update/0201/146.html