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2007年01月31日(水) 02時48分

裁判で求刑意見述べる「被害者参加制度」導入…法制審読売新聞

 法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会は30日、犯罪被害者・遺族が刑事裁判で直接、被告や証人に質問し、検察官とは別に求刑の意見を述べる権利を認める「被害者参加制度」と、刑事裁判の判決後に同じ裁判官が被害者側の損害賠償請求も審理する「付帯私訴制度」を導入する要綱をまとめた。

 法制審は来月7日の総会を経て法相に答申、これを受けて政府は今国会に関連法案を提出する。

 被害者らが検察官や被告など刑事裁判の当事者に近い立場を得れば、従来の刑事裁判が大きく変わり、2年後に始まる裁判員制度への影響も予想される。

 被害者参加制度の対象になるのは、殺人、傷害など故意に人を死傷させた事件や、交通事故を含む業務上過失致死傷罪の事件など。被害者や遺族が「被害者参加人」として検察側の席に着く。弁護士に代理を依頼することもできる。

 公判で被害者・遺族は、〈1〉犯罪の事実関係などを被告に質問する〈2〉被告の情状に関する内容に限り、証人に尋問する〈3〉検察官の論告求刑後、事実関係や刑の重さについて独自に意見を述べる——ことなどが、権利として認められる。ただ、いずれも検察官を通じて裁判所に許可を求めるため、起訴事実から大きく外れる質問や意見は制限される。

 一方、付帯私訴制度の対象は、被害者参加制度の対象事件から過失事件を除いたもの。刑事裁判の有罪判決が言い渡された直後、同じ裁判官が引き続き担当し、刑事裁判で認定した事実や証拠を基に4回以内の審理で賠償額を決定する。

 決着がつかない場合や決定内容に不服が出た場合は通常の民事裁判に移し、刑事裁判の証拠が引き継がれる。被害者は民事訴訟を起こす必要がなく、証拠集めや立証の負担も軽減される。

 このほか、被害者による刑事裁判記録の閲覧・コピーの制限を原則としてなくし、性犯罪などは被害者の個人情報を法廷で伏せる制度も盛り込まれた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070130it16.htm