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2007年01月31日(水) 00時00分

ウィンドウズ→リナックス 移行1年 ソフト費大幅減 「リナックス」が搭載されたパソコンを操作する海老原室長=二宮町で 東京新聞

 マイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」が世界的な注目を集める中、ウィンドウズをやめ、無料で使えるオープンソースソフトウエア(OSS)に切り替えている全国で唯一の自治体が二宮町だ。OSS導入から間もなく一年になり、「削減した経費を住民サービスに回すことができる」と手応えを感じている。 (小倉貞俊)

 二宮町が全職員のパソコンで使用しているのは、「リナックス」などのOSS。OSSとは、プログラムの設計図が無料でネット上に公開されており、誰でも改良や再配布が行えるソフトのこと。

 独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)がOSS普及に向けて、実証実験の自治体を募集。二宮町は、コンピューター関連の経費削減に向けて実験に応募したところ、全国四カ所の一つに選ばれた。

 実験自治体に選ばれたことで委託金も受け、同町は、昨年二月から役場内の事務用パソコン百三十九台のOSを、すべてリナックスに移行。同時に、表計算やメールなどのソフトなども、無料で使えるOSSに切り替えた。

 同町は切り替えの効果について、「ウィンドウズを使い続けた場合に比べて、約三千万円の節約になった」と強調。委託金を受領したほか、ソフト購入費が大幅に節減できるためで、この効果は今後、さらに拡大する見通しだという。

 当初は職員から「リナックスは使いにくい」「ウィンドウズに戻して」という批判も。だが、次第に「慣れてきた」という声が増え、現在は軌道に乗っているという。

 また、もともとパソコン操作が苦手だった職員が、必死で取り組むことにより作業効率の向上につながるという“副産物”もあった。

 これをうけて同町は実験に参加した四自治体のうち、いち早くOSSに完全移行。周辺の自治体からも、問い合わせが増えているという。

 海老原慎一情報管理室長(47)は「日常業務は安全で使いやすいソフトであればよく、高い性能は必要ない。無駄な経費を学校の改修など住民サービスに回すことが、一番大切です」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20070131/lcl_____tcg_____000.shtml