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2007年01月31日(水) 00時00分

【名古屋市】 「公金意識」低く、申請書に通し番号なし 市の手数料着服で監査 中日新聞

 名古屋市の3区役所1支所で住民票の写しなどの交付手数料が着服されていた問題で、市監査委員は30日、全区役所と支所の市民課・係について「申請書に通し番号がなく、紛失しても分からない状態だった」などの問題点を指摘した。ずさんな収納事務が公金着服の温床になっていたことが浮き彫りとなった。

 「市民課では、申請書の集計額と収納金額が一致しなくても、疑問を抱かない職場風土となっていたのではないか。公金意識も低くなっていた」

 監査事務局の豊島行宏監査第2課長は会見で、こう強調した。

 監査は、2005年度と06年4−11月を対象に、全16区役所、5支所で実施した。

 その結果、問題となった3区役所と1支所以外にも、市民課での現金取り扱い事務で、監査委員から「不適切」として指摘されたケースがあった。

 唯一、レジを使っている港区では、その記録のみを頼りにし、1日ごとの申請書の枚数と、収納金の照合作業をしていなかった。そのため、レジの打ち間違いなどで申請書の数と収納金額の間にずれが生じ、05年度には不足額が毎月約1万円ずつ膨らんでいった。

 昭和、中川、南区では、1日に集まった手数料の総額をその日のうちに確認するという、初歩的な作業すら怠っていた。

 また、一部の区では、その日の収納金を管理の厳しい税務課の金庫ではなく、職員の多くが開け方を知っている市民課の金庫に保管していた。

 大半の区役所と支所で、申請書の集計額と収納金額に不一致があった点については「来客対応の迅速性を重視するあまり、正確性がおろそかにされていた」と指摘。職場風土の改善や職員の意識改革を求めた。

 松原市長は「事件発覚後、すぐにとり得る再発防止策を講じてきた。監査結果を厳粛に受け止め、徹底した再発防止策を早急に取りまとめ、不祥事防止に努める」とコメントした。

 (伊東誠、原一文)


http://www.chunichi.co.jp/00/ach/20070131/lcl_____ach_____009.shtml