記事登録
2007年01月31日(水) 00時00分

規制ない『ネット版』続々 韓国 自宅の仕事部屋で新作の構想を練る姜道栄さん=韓国坡州市で 東京新聞

 韓国漫画の救世主になるかもしれない−。いま、熱い期待を集めているのが「インターネット漫画」だ。出版漫画市場の七割を翻訳された日本漫画が占める現状に風穴をあけそうな人気作品が続々と登場している。

 「カン・プル」の名前で知られる第一人者、姜道栄(カンドウヨン)さん(32)の自宅兼仕事場は、京畿道坡州市のアパートにある。二〇〇三年十月に長編ネット漫画家として本格デビュー、男女のほのぼのと温かい恋愛模様を描いた「純情漫画」など五作品が映画化される売れっ子だ。

 最初は、どの出版社に作品を持ち込んでも相手にされなかった。「それなら先に読者から認められよう」とひらめき、ネット漫画で前例がなかった長編に挑んだ。「これほど人気が出るなんて」と本人も驚く。

 韓国では、漫画は借りて読むのが主流。出版社など業界は大きな利益を上げにくい構造だった。しかし、パソコンがあれば簡単に読めるネット漫画はファンの反応が早く、評判もすぐに広がる。そのため、出版されたり、映画化されたりする例が相次いでいる。

 姜さんは、自由な表現も人気の理由とみる。例えば、出版物での表現の規制が日本より厳しい韓国では雑誌漫画に汚い捨てぜりふを使うことが難しい。「ネットには規制がなく、作家が自己検閲して想像力を閉じる必要が全くない」

 半面、「ネットのものはただ」という意識が強く、ネット漫画が無許可で転載されてしまう問題も。無名作家だと掲載料が支払われない場合もある。姜さんは「インターネットが急激に普及したので、まだ試行錯誤の状態」と話している。

  (ソウル・福田要、写真も)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/nwt/20070131/ftu_____nwt_____003.shtml