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2007年01月31日(水) 15時50分

「マルチ」支える幹部会員 リッチランド詐欺事件朝日新聞

 健康食品販売会社「リッチランド」(東京都北区、営業停止)幹部らによる巨額詐欺事件で、警視庁などの捜査本部は、同社幹部とともに積極的に会員を集めた「幹部会員」の異例の逮捕に踏み切った。破綻(はたん)に気付きながら勧誘をやめず、同社から紹介料などを受け取っていたことが詐欺の共犯にあたると判断した。八葉グループなど過去の巨額詐欺事件でも、重要な役割を果たした幹部会員。別のマルチ商法の会社で、幹部会員を務める都内の男性(68)が、その手口を明らかにした。

 捜査本部が30日に詐欺容疑で逮捕した17人のうち、11人は幹部会員だった。北海道から沖縄まで全国各地に拠点を持ち、農業やルポライターなどの本業を持つ容疑者もいる。全国から約1550億円を集め、02年に警視庁に摘発された八葉グループによる詐欺事件でも、約50人の幹部会員が書類送検されている。

 取材に応じた男性は酒や雑貨の小売業に携わる一方、20年ほど前から健康器具、寝具など、複数の会社のマルチ取引にかかわるようになった。

 男性によると、マルチ取引で得られる収入は、本社から支払われる紹介料と配当の二本柱という。会員を新たに勧誘したときに支払われるのが、紹介料。出資した額に応じ定期的に支払われるのが、配当だ。

 紹介料ももちろんだが、本当のうまみは、自分が勧誘した会員が増えるにつれ、配当率がどんどん上がっていくところにあるという。

 自分が勧誘した会員が、新たな会員を勧誘する。ねずみ算的に自分がかかわった会員が増え、そのたびに配当率が上がる。入会が遅れるほど利ざやは小さくなり、「会員がもうかるのは、事業開始から2、3年。必ず破綻する。早乗り、早降りですよ」と男性は話す。

 新しい会社の情報は、仲間の幹部会員から入ってくる。投資をして失敗した会社もあるが、成功した会社も少なくないという。自らの収入は明かさないが、「同僚は5000万円くらいもうけている」とも話す。

 八葉グループについては、話を聞いて怪しいと思ったので手を出さなかった。男性は「深入りしないことが大事。浅く、広くが身上だ」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0131/TKY200701310324.html