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2007年01月30日(火) 15時14分

憤る女性議員、柳沢厚労相へ包囲網 身内からも批判朝日新聞

 女性を「子どもを産む機械」と例えた柳沢厚生労働相に対し、辞任を求める声が野党の女性議員を中心に高まっている。与党の女性議員も、この「失言」には批判的。朝日新聞社の世論調査で高い傾向が続く女性の安倍内閣支持率にも、影響を与えかねない事態だ。

柳沢厚労相(中央)に辞任要求を手渡す女性議員たち

 「残念ながら子どもを持てない人もいる。最低の、許せない発言だ」(社民・福島党首)

 「『私の女性観とは違う』と言うが、思っていなければ出ないので、これが本音だ」(民主・小宮山洋子衆院議員)

 「女性たちは傷ついている。少子化問題に一番かかわる厚労大臣として不適格だ」(共産・吉川春子参院議員)

 民主・共産・社民の野党3党の女性議員16人が29日夕、共同で記者会見し、柳沢氏の辞任を求めていく考えを強調した。直前に柳沢氏に辞任要求書を手渡したが、男性議員も巻き込み、国会論戦を通じて責任を追及する考えだ。

 身内の自民党の女性議員からも批判の声が上がっている。

 野田聖子衆院議員は04年、不妊治療の経験をつづった著書「私は、産みたい」を出版した。「言葉を大切にするというのは閣僚の大切な要素。軽率で不適切で、大きな過ちだ。心得違いをされていたのだと思う」と不快感を示す。

 前少子化・男女共同参画担当相の猪口邦子衆院議員も「出産は命がけで尊いこと。女性としては誰でも違和感を受けたのではないか。適切でない表現であることは明らかで、残念だ」と言う。

 朝日新聞社の世論調査では、安倍内閣の支持率は20、21日に実施した調査で39%となり、初めて4割を切った。昨年9月の内閣発足以降の5回の調査結果を見ると、支持率(%)は男性が60→61→51→45→36、女性が65→65→55→48→42で、いずれも下がり続けている。20、21日の調査で、男性は不支持率(46%)が支持率を初めて上回った。これまでは女性の支持の高さに支えられてきたが、今回の失態で、それすらも失いかねない。

 「安倍首相の任命責任も問うていきたい。これが、安倍首相が言う『美しい国づくり』内閣の実態かと思うと、背筋がぞっとする」(社民・辻元清美衆院議員)などと、野党は首相に対しても責任を追及する姿勢だ。

http://www.asahi.com/politics/update/0130/009.html