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2007年01月30日(火) 12時48分

自民・青木氏も「格差は事実」 代表質問で首相ただす朝日新聞

 安倍首相の施政方針演説に対する参院本会議での代表質問が30日午前、始まった。自民党の青木幹雄参院議員会長は「政府は『格差』という言葉を避けているようだが、格差が存在するのは紛れもない事実」と、首相の現状認識をただした。首相は憲法改正や教育再生に力点を置くが、夏に参院選を控え、身内からも「格差」重視の注文がついた形だ。首相は「結果平等をめざす社会をつくろうとは思わない」と述べる一方で、経済全体の底上げで格差を解消する考えを改めて強調した。

 青木氏は「『格差』ではなく、『新しい貧困層』という言葉を使うべきだ」(塩崎官房長官)との発言が政府内で出ていることなどを念頭に、「格差は存在する」と指摘。「格差問題が今国会の大きなテーマの一つだ」と強調した。

 具体的には、地元・島根県の人口約2万人の隠岐島で半年間、産婦人科医がいなくなり、60人の妊婦が本州に渡って出産したことを紹介。「貧しいがゆえに大きな負担を強いられて、ますます貧しくなり、国民の間の格差が拡大していく」と訴えた。

 これに対し、首相は「汗を流した人が報われる社会にすることが重要」と「結果平等」の考え方を否定した。そのうえで「今後重要なのは経済成長の成果を広く行き渡らせることだ」と強調。パート労働者と正規労働者の待遇の均等化、最低賃金の見直し、雇用に前向きな企業への支援、農業の戦略産業化などに取り組む姿勢を示した。

 一方、民主党の輿石東参院議員会長も「安倍政権の最大の問題点は格差の拡大だ」と指摘。首相は「国民にとって身近な経済や生活の問題から逃避する考えは全くない」などと強調した。

http://www.asahi.com/politics/update/0130/008.html