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2007年01月30日(火) 00時00分

不二家創業家に三重苦…補償請求、機能停止、支援要請ZAKZAK

 不二家は平成10年から「ネクター」や「レモンスカッシュ」など22品目の飲料品の販売をサッポロ飲料に全面的に委託している。年間の売上高は約60億円と、サッポロ飲料全体の販売額の1割を占めている。

 洋菓子での消費期限切れの原料使用発覚後、サッポロ飲料は、「飲料は品質上問題がない」と発表していたが、売れ行きはほぼ半減。自動販売機や小売店では不二家製飲料を撤去する動きも進んでいた。次々と不祥事が発覚する中、販売元としての企業イメージの低下も懸念されるため、販売を続けるのは難しいと判断し、2月1日から全国の自販機や小売店から商品を全面的に撤去する。

 売り上げ減少や商品撤去にかかる費用は少なくとも数億円に上るとみられ、サッポロ飲料では今後、不二家側に損失補償を求める方向で検討に入る。

 不二家はすでに、洋菓子販売の休止で約700店のフランチャイズ店に1週間ごとに総額1億円を補償している。スーパーやコンビニからも不二家製品が次々と撤去され、今期は大幅な赤字に転落するのは確実としているが、飲料での販売減や損失補償が加われば、一段と経営に打撃を与えることになる。

 一方、同社は社内に桜井康文社長を議長とし、若手中心の執行役員で構成する「執行役員会」を新設、実質的に経営を主導することになる。

 取締役会は機能停止し、執行役員会の決定を承認するだけとなる。藤井林太郎前社長はすでに取締役も退いたが、創業家出身者の2人が取締役に残っている。執行役員会に権限が移ることで、少なくとも形式上は創業家の影響力は行使できなくなる形だ。

 そうした中、浮上してきたのが外部の協力だ。不二家と主力取引銀行のりそな銀行は、製パン最大手の山崎製パンに支援を要請した。

 山崎製パンは社内に厳しい食品安全基準を導入しており、当面は、工場の操業再開に向けた品質管理の面で協力するとみられるが、将来的に資本・業務提携に発展する可能性も視野に入っている。

 改革の枠組みは固まってきた不二家だが、消費者の信頼を取り戻して、不二家商品が再び店頭に並ぶまではまだ時間がかかりそうだ。

ZAKZAK 2007/01/30

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007013029.html