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2007年01月30日(火) 00時00分

多重債務で有識者初会合 東京新聞

 政府の多重債務者対策本部は二十九日、有識者会議(座長・吉野直行慶大教授)の初会合を開き、借金に苦しむ人の債務整理や、借りすぎ・貸しすぎをどう防ぐかの具体策を話し合った。委員らは、多重債務者に必要な相談窓口について現状の不備を指摘、カウンセリング体制を拡充するよう注文が相次いだ。

■深刻230万人

 昨年末、業者規制を強化した貸金業法が成立したことで、対策本部は今後、法律では対応しきれない、(1)カウンセリング体制(2)金利引き下げで借りられなくなる人のセーフティーネット(安全網)(3)金融教育(4)違法なヤミ金融取り締まり−についての対応を急ぐ。有識者会議も今春をめどに、「多重債務問題改善プログラム」をまとめる方針だ。

 初会合では、本部長の山本有二金融担当相が、約二百三十万人いる多重債務者に対して、相談件数が年に三十万−四十万件程度にとどまり、窓口が不足している現状を報告した。

 委員の有識者からは、相談体制が弁護士会や被害者対応の団体に依存しているうえ、全国的な拠点が不十分であるため、「地方自治体で体制を整えるべき」との意見が出た。また相談内容が家計管理や債務整理、心理カウンセリングなど幅広く、高い専門性が求められることから「量だけでなく質も充実すべきだ」との声が上がった。

 さらに、金融教育の重要性に触れ、多重債務に陥らないように「社会人になる前からの教育が大事だ」との指摘が出た。ヤミ金対策では「堂々と営業しているのに警察の対応が甘い」と取り締まり強化を求めた。

 貸金業者に対しては「まだ、『借金を返さない方が悪い』と思っている」などと、一層の改革を求める声が強まった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070130/mng_____kei_____004.shtml