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2007年01月30日(火) 22時25分

鳥取・児童らの嘔吐・下痢さらに増える朝日新聞

◆給食センターを調査 「子どもが毎日食べるのに」◆

 嘔吐(おう・と)や下痢の症状を訴える児童や生徒ら発症者数は、鳥取市教委のまとめが進むにつれ大きく膨れあがった。29日には欠席、欠勤者は526人で、体調不良者を合わせると775人にのぼった。

 鳥取保健所は同日午前、発症者がいる17校すべてに配食している鳥取市蔵田の市第2学校給食センターを立ち入り調査した。職員7人が、滅菌した布や綿棒を使って調理場のまな板や流し台、包丁をふき取って検体を採取した。県衛生環境研究所で調べ、早ければ30日午前には原因が判明する。

 また、残った食材の採取、同センター職員25人に対する検便や健康状況の確認をするとともに、食材の輸送経路も調べる。29日、同センターに5日間の業務停止命令を出した。

 嘔吐・下痢の集団発症は、28日午前10時ごろ、市立小学校から「27人が嘔吐・下痢の症状で学校参観を休み、8人が早退した」という通報が市教委にあったことからわかった。市教委が市内の全校に問い合わせたところ、同様の症状が児童や生徒の多数に出ていることがわかった。発症者775人は同センターが配食している全17校5780人の13・4%にあたる。いずれも快方に向かっているが、南中学校は30日を臨時休校し、当面の間、17校では給食が中止になり弁当持参となる。

 原因はまだ特定されていないが、同センター職員の一人が嘔吐や下痢の症状を訴え、10日から仕事を休んでおり、17日にノロウイルスの検査で陽性だったことがわかっている。のちに陰性になったため25日から仕事に復帰していた。また、2人の調理員が21、27日に同様の症状を訴えているが、センターからの報告を受けた市教委は県に連絡をしていなかった。

 市教委体育課は「届け出義務はなく、報告しなかった理由は特にない」としているが、県東部総合事務所の岡崎博司・生活環境局長は「子どもが毎日食べるものなので、もう少し早い対応ができなかったかと思う」と話している。

◆校長会で消毒を指示 保護者「不安、衛生面をきちんと」◆

 第2学校給食センターから給食の提供を受けていた小中学校計17校の校長や市教委の関係者計23人は29日午前、市役所第2庁舎で臨時校長会を開いた。中川俊隆教育長は「このような事態になって申し訳ない」と陳謝した。

 校長会では市教委側が経過を説明。児童・生徒には当面、弁当を持参させる方針や、原因としてノロウイルスが疑われることから嘔吐物の処理にはできるだけトイレや水回りを塩素系薬品で消毒することなどを指示した。また、小中学校などに給食を提供する市内の11施設には同日、食中毒予防のため衛生管理の徹底を呼びかける文書をファクスで送ったという。

 同日、全校児童の2割を超える47人が嘔吐や下痢、腹痛を訴えて欠席した修立小学校では、26日開いた給食の試食会に保護者33人が参加しており、このうち10人が同様の症状を訴えたという。

 同校の盛本裕子校長は「多くの子どもに症状が出て、せっかく試食会に参加してくれた保護者もこんなことになってしまい、校長として申し訳なく思っている。手洗いやうがいの指導を再度徹底したい」と話した。児童たちには、30日から昼食を持参することや家庭でできる消毒方法などの文書を保護者あてに持たせたという。

 同校3年の女児(9)は、27日昼から下痢の症状が出て、28日には吐き気が加わり、飲んだり食べたりできず、起きていられない状態になった。給食が原因とみられ、多くの児童も同じような症状を訴えていると聞いて「給食はしばらく食べたくない」と話しているという。女児の母親は「前から風邪を引いていたので、風邪の症状かと思っていた。原因が分からないけど、こんなことは初めてで不安。衛生面はきちっとしてほしい」と話した。

 県教委によると、給食による県内の食中毒では、83年に日野町内の6小中学校で焼きそばが原因で計311人が下痢や嘔吐などを発症している。

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000701300001