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2007年01月29日(月) 00時00分

女子大生がラブホ極める…“評論家”オファー殺到ZAKZAK

 大阪市生野区出身で在日韓国人3世の金さん。ラブホテルと出合ったのは同大学3年だった12年春。卒業論文のテーマを探していたところ、電車の中吊り広告にあった雑誌の「ラブホテル特集」の文字が目に飛び込んできた。

 高校までは門限が午後5時という厳格な家庭に育った金さんは「公共の場にいやらしい」と憤慨。知人に話したところ、世代で受け止め方が違うことに気が付いた。

 「同世代や年上の人はスケベなイメージを持つ一方で、後輩ら年下は『普通ですよ』と。2人きりで過ごせてカラオケもあり、サービスタイムなら1日安く過ごせてお得という感覚なんです」

 そこで、世代や地域での差があぶり出せるのではと考え、卒業論文のテーマに決定。ラブホテル考察の著書がある、国際日本文化研究センター教授の井上章一氏のもとに日参し、同年12月、卒論を完成。一風変わった論文は学内で高評価を受けた。

 ところが、井上氏は「ボクの研究の域を出ていない。フィールドワークの形跡がない」と厳しい評価。一念発起して大学院に進学して、“リベンジ”となった。

 ラブホテルは1人では門前払いされることが多いために、情報誌の取材に同行。学生アンケートを提供することとバーターで、現場にもぐりこむことに成功し、関西を中心に300軒近いラブホテルを訪れた。

 さらに、東京では取材先の業界紙幹部に気に入られ、30人以上の経営者への面談もかなえたほか、大阪府警生活安全部や雑誌ライター、漫画家、アメニティーグッズの業者から、“その筋の人”まで、取材先は広範囲に及んだ。

 当初は「ラブホに行きまくっている女」と、学内で後ろ指を指されることもあったが、今では家族も含めすっかり応援モード。「完成したらぜひ読みたい」と声をかけられるという。

 現在は、利用者と経営者との関係とその歴史を軸に、来年春の完成を目指して、資料分析の真っ最中。だが、噂を聞きつけた全国のマスコミから“ラブホ評論家”としてのオファーが殺到しているそうだ。

 「私は優秀な学生ではありませんでしたが、本気でやることで研究の楽しさを知った。将来はフィールドワーク論を教えられるような研究者になりたい」と金さん。

 研究内容は論文完成までのお楽しみだが、夕刊フジではその一端を別表に紹介しておく。

【研究成果の一部】

〔1〕ラブホテルの語源 従来は大阪市東淀川区にあった「ホテルラブ」というラブホテルが語源とされていた。しかし、元経営者を割り出し、「開業したころから『ラブホテル』という言葉はあった」との証言を引き出し、定説を覆した。

〔2〕地域色 回転ベッドや菓子の無料提供など常に新サービスを流行させるのは大阪。ただ、菓子を含め安っぽいのも特徴で、デパートなどで販売される本格菓子が出てくるのは名古屋。全国的にも、名古屋のサービスは秀逸。

〔3〕最近の傾向 フローリングにソファ、台所もある普通の部屋を意識したものか、「三角木馬」「はりつけ台」などのエロティックさを前面に出した部屋に二極化している。

ZAKZAK 2007/01/29

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007012927.html