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2007年01月29日(月) 13時45分

1月29日付・よみうり寸評読売新聞

 臭いにおいはもとから絶たなきゃだめ。ことがガスならなおのこと。パロマ工業と親会社のパロマはそのへんの認識が甘く対応に抜かりがあったようだ◆パロマ工業製ガス湯沸かし器による一連の一酸化炭素(CO)中毒事故について、同社は「修理業者による不正な改造」が原因として湯沸かし器自体の欠陥は否定してきた◆では、なぜ修理業者は不正な改造をしたのか。問題の湯沸かし器は排気ファンと連動するコントロールボックスの基板にはんだ割れが多発していた。これがなければ不正改造もなかったはずだ◆だが、同社は修理業者に不正改造禁止の通知はしたが、回収や点検、一般利用者への告知などは徹底しなかった。対応が甘かったというほかはない◆一連の事故は1985年以降、28件発生し、死者21人、重軽症40人。今や、業務上過失致死傷罪の時効にかからないのは1件だけになった。ようやく警視庁がパロマなどを一斉捜索。容疑者不詳の業務上過失致死傷容疑だ◆この22年、被害者には、不条理、無責任も極まりない「不作為」の時が流れた。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070129ig05.htm