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2007年01月29日(月) 06時48分

「あるある」疑惑 捏造手口「納豆」と同じ朝日新聞

 関西テレビ制作の番組「発掘!あるある大事典II」は、別の回でも取材事実を捏造(ねつぞう)していた可能性が濃厚となった。海外研究者の言葉をねじ曲げたり、実験結果を偽ってあらかじめ想定する結論に結びつけたりして、視聴者をあざむく手法は「納豆ダイエット」の回と同じ構図だ。

「発掘!あるある大事典II」で06年2月に放送された映像=関西テレビから

 06年2月放送の「衝撃! 味噌(みそ)汁でヤセる?!」の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ)は関西地区で18.0%、関東地区で16.4%にのぼった。

 番組では冒頭に「みそ汁ダイエットが米国で大ブーム」と紹介し、司会の堺正章さんが「みそ汁を飲むだけでとってもやせる」と説明。対するゲストが「みそ汁を飲む、それだけ?」と驚くなど、意外性で番組を盛り上げる演出だった。

 みそ汁ダイエットの実践例として、食事療法を取り入れた米国のセミナーの様子や、男女の減量前後を写真で比べた「成功例」をひいて効き目を強調した。その後、テキサス工科大学キム・サンウー助教授のインタビューが紹介されている。

 インタビューの場面では画面の下に「朝食に味噌汁を摂(と)る事はダイエットには非常に効果的ですね」などと、みそ汁とダイエットの因果関係を証言する字幕が添えられた。キム助教授自身の声は「味噌」「朝」などの単語がわずかに聞き取れるだけで、吹き替えの日本語にかき消され、本当は何を話したのかは分からないよう編集されていた。

 キム助教授の専門は動物栄養学・消化生理学。朝日新聞の取材に対しては、大豆とダイエットを関連づけた論文はないと回答した。

 レタスの催眠作用の実験結果を偽った「快眠」の回の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ)は関西地区で20.5%、関東地区で15.5%。

 長村洋一・千葉科学大教授(健康食品学)によると、制作会社から依頼を受け、レタスに含まれる催眠成分を実証する実験に協力した。だがレタスジュースを与えたマウスと、水を与えたマウスに違いは認められずスタッフは困惑した様子だったという。スタッフが「眠りませんでしたね」との趣旨の発言をしたことも覚えている。

 事前に放映内容は知らされず、番組を見て驚いた。「あまりにずさんな行為に抗議する気持ちにもなれなかった」と話す。今回、納豆ダイエット問題の発覚を受け、理事長を務める「健康食品管理士認定協会」のホームページに自分の体験を掲載した。

http://www.asahi.com/national/update/0128/OSK200701280046.html