記事登録
2007年01月29日(月) 00時24分

悪質商法摘発へ連携 経産省が情報共有システム朝日新聞

 悪質商法の取り締まりで国と都道府県が連携できるように、経済産業省は新年度から、業者情報などを共有できるシステムの運用を始める。同省と自治体の担当部署をコンピューターネットワークで結び、どんな業者の情報が寄せられ、調査がどこまで進んでいるかが一目でわかるようになる。これまでバラバラに調べて効率が悪かったが、今後は国や自治体の合同での立ち入り検査も頻繁にできるようになる。

 経産省や都道府県は特定商取引法に基づき、悪質商法を摘発している。電話勧誘や訪問販売でうその説明をして教材などを売りつけたり、住宅リフォーム契約を結ばせたりする同法違反(不実告知)などが確認できた場合、業務停止命令や指示といった行政処分をしている。同法による国と都道府県の処分は近年急増し、96年度は2件だけだったが、昨年度は80件になった。

 悪質な業者は全国をまたにかけて活動することが多いのに、国や都道府県はお互いに電話や定期的な会議で連絡をとりあう程度だった。同じ業者を別々に調査したり、処分しようとしたらほかの自治体が先に処分を下したり、といったケースも多いという。

 経産省が開発する「取り締まりネット」は、国や自治体がそれぞれ得た悪質商法に関する苦情や、各地の消費生活センターなどからの申し出を摘発への「端緒情報」として書き込める。

 各当局が調査している業者は一覧できる。特定の業者名をクリックすると進み具合が表示され、「調査に新規参加する」「情報提供する」などが選択できる。「掲示板」機能もあり、ほかの当局への質問などもできる。過去の処分についてのデータベースにもなる。

 経産省は新年度中にシステムを稼働させる方針。「『守秘義務上、問題ないか』という意見もあったが、悪質商法の摘発のために力を合わせたい。天網恢々(てんもうかいかい)疎にして漏らさず、です」と同省幹部。自治体との合同での立ち入り検査や行政処分に意欲を見せる。

http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY200701270291.html