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2007年01月28日(日) 21時38分

国の水俣病未認定患者調査を拒否 不知火患者会が決定朝日新聞

 環境省が4月から実施する水俣病未認定患者1万数千人の実態調査について、認定申請者約1800人でつくる水俣病不知火患者会(熊本県水俣市)は28日、協力しないことを決めた。調査結果は与党の水俣病問題プロジェクトチーム(PT)の新たな救済策づくりの参考資料に使われることになっており、「予想される新救済策では根本的な問題解決にならない」とする同会が改めて抵抗の姿勢を示した形だ。

 与党PTは95年の政治決着並みの救済策を検討しているが、同会は「多くの患者を水俣病と認めないまま一時金などで決着を図る策では、問題の解決にならない」として受け入れを拒否。会員のうち約1100人は国と熊本県、チッソを相手に損害賠償請求訴訟を起こし、司法の場での救済制度の確立を目指している。

 同会と弁護団は28日、水俣市での合同学習会で調査協力拒否の声明を採択。「調査は被害の全容解明につながらず、与党PTの解決策に白紙委任状を与えるようなもの。到底受け入れられない」と指摘した。取材に対し大石利生会長(66)は「調査費の8億円があれば、私たちが求める不知火海沿岸の全住民の健康調査ができる。なぜそうしないのか」と話した。

 調査対象は熊本、鹿児島、新潟3県の未認定患者。4〜10月、神経症状や日常生活の身体能力についてアンケートするほか、無作為抽出した5%の人を対象に医師が診察し、保健師が症状や生活上の支障を調べる。

 他の団体では、水俣病被害者互助会(水俣市、約130人)も拒否する方向で検討。水俣病出水の会(鹿児島県出水市、約2400人)と水俣病被害者芦北の会(熊本県津奈木町、約230人)は協力する方針という。

http://www.asahi.com/national/update/0128/SEB200701280009.html