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2007年01月28日(日) 01時14分

「賃上げ求める職がない」 夕張市で連合が集会朝日新聞

 連合は27日、北海道夕張市で格差社会を議論する対話集会を開いた。財政破綻(はたん)した夕張市から、07年春闘の最重要テーマと位置づける格差是正を全国に訴える狙いだ。ただ夕張では「賃上げを求める以前に、そもそも仕事がない」(地元労組幹部)。「格差是正春闘」の浸透は簡単ではない。

 集会には市民ら400人が参加した。高木剛会長は「地方まで行き過ぎた市場主義が広まっている。効率よりも公平や公正を考えるべきだ」と指摘。対話討論で、夕張青年会議所の柳沼伸幸・前理事長が「地方が税金を無駄遣いしているといわれるが、中央だけが一人勝ちでいいのか。均衡ある発展も必要なのでは」と述べた。

 討論では「労組も正社員の利益優先で格差拡大に加担した」との批判も出た。高木会長は「格差社会の主犯が企業なら、労組も従犯ぐらいの責任はある」と認め、「信頼を取り戻せるよう努力するしかない」と話した。

 市民からは「仕事も少なく、町を去る人も出ている」という発言があった。確かに、雇用環境は非常に厳しい。

 夕張地域の有効求人倍率(常用雇用)は昨年11月で0.43。全国10ブロックで最も低い北海道(0.54)の中でも最低水準で、全国平均との差は大きい。求人もパートや季節雇用が目立ち、時給644円の北海道の最低賃金と同額のものも。財政再建のため市から民間への委託業務が減れば、今後失業者が増える可能性も高い。

 労組も力を失っている。市役所職員は、半減して150人程度になる予定。連合の北海道夕張地区連合会の組合員も、約560人から大幅に減りそうだ。夕張は戦後の労働運動を率いてきた日本炭鉱労組の拠点の一つで、60年代には周辺に数万人の組合員がいた。炭労の元幹部は「人がいなくなっては組合運動もできない」と嘆く。

 連合は、新潟でも24日に対話集会を開いた。今後、3月までに高知、鹿児島など7カ所で開く。夕張同様に労組の力が弱い地方の声を吸い上げ、春闘を通じパートの時給引き上げなどを求めていく方針だ。

http://www.asahi.com/politics/update/0128/003.html