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2007年01月28日(日) 12時22分

唯一の消火器は使用済み 宝塚カラオケ店火災朝日新聞

 3人が死亡、5人が負傷した兵庫県宝塚市のカラオケ店「ビート」の火災で、同店に1本だけあった消火器が、昨年のぼやの際に使われたものだったことが、県警の調べでわかった。経営者の上江洲(かみえす)安一(やすかず)店長(53)は県警に「まだ使えると思ってそのまま1階に置いていた」と説明しているという。県警は、消火器がすでに使えない状態で、同店の防火設備が皆無に近かった可能性もあるとみて、消火器を鑑定するとともに、業務上過失致死傷容疑で上江洲店長から事情を聴いている。

 調べでは、数カ月前の昨年、今回の出火場所と同じ調理室で、佐々木美津子容疑者(35)=業務上失火容疑などで逮捕=とは別の店員が調理している時に鍋の油が発火。店内にいた上江洲店長がすぐに消火器で消し止めたため、被害はほとんどなかった。この時に使った消火器を、そのまま置いていたという。

 今回の火災で、佐々木容疑者に助けを求められて調理室に駆けつけた客の男性は「佐々木容疑者から消火器を渡され、ピンを抜いて構えたが、爆発が起きて噴射させずに避難した。消火器を持った時に、内部でボコボコと音がした。使用済みとは思わなかった」と話している。

 消防関係者によると、消火器は、使用後に消火剤を詰め替えないと使えないタイプや、1回使用すると再度使えないものが大半といい、県警が詳しく調べている。

http://www.asahi.com/national/update/0128/OSK200701270073.html