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2007年01月28日(日) 10時17分

カキノロウイルス風評被害、対策さまざま朝日新聞

 カキの生産終了まで残り2カ月余り。猛威をふるったノロウイルスは減退傾向にあるものの、ウイルスの風評被害で打撃を受けた生産業者は大幅な収入減が避けられそうにない。様々な現場から「カキ=ノロウイルスと思われている」とあきらめの声もあがるなか、安全情報を消費者に提供することでカキへの信頼を取り戻そうという新たな試みが始まっている。(石橋亮介)

 県内産カキの価格は、当初例年より高値で推移していたが、昨年12月にノロウイルスが流行し始めると一気に下降。12月中旬には一時700円以上安くなった。現在、生産量を平年の約3分の1に抑えることでかろうじて価格を保っている状態だ。

 県漁連は25日、県内の養殖業者や首都圏の仲買、大手流通業者らを仙台に招いて対応を協議した。県漁連は「カキや二枚貝はよく加熱して」という注意喚起自体が生食中心の宮城産カキから消費者を遠ざけたと指摘。毎週独自に行っているウイルス検査の取り組み状況などを説明し、宮城産の安全性をPRしてほしいと訴えた。

 販売業者からは「他の生食食品も落ち込んでいる。加熱調理の方法をもっと客にアピールするべきだ」。大手加工販売業者からも「安全と言い切るために、マニュアルのフライの温度などを見直した」などと、客の不安を取り除くため、生食にこだわらず加熱を前提にした販売方法を提案する声が相次いだ。

 実際、ノロウイルスが下水などを通じて海水に混じれば、カキの汚染は防げないのも事実。県漁連の木村稔会長も「下水処理場で汚水を70度以上に加熱して排出してほしいが、それは無理」と発言する場面もあった。

 こうした中、カキの信頼性を高めようとする取り組みが始まっている。県内で45店舗を運営するみやぎ生協は、25日から志津川湾産の生食用カキについて、生産情報を携帯電話で確認できるシステムの運用を始めた。ノロウイルス検査の結果も店頭で分かるため、「販売促進につながるはず」と期待する。

 また、県保健環境センターは現在4〜5日かかるカキのノロウイルス検査を最短で5・3時間に短縮する方法を開発。最後の検証を急いでいる。

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000701280001