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2007年01月27日(土) 03時00分

アパ、千葉のマンションも強度不足か 京都発覚の契機朝日新聞

 富山市の建築士がアパグループのホテルの耐震強度を偽装していた問題に絡み、千葉県は近く、同じ建築士が構造設計したアパグループのマンション「アパガーデンパレス成田」(同県成田市)の5棟のうち1棟の強度が不足しているとして、アパ側に是正計画の提出を求める方針を固めた。この物件は構造計算書に疑問点が見つかったため昨年3月から未完成のまま工事が中断していた。

一部の耐震強度が不足しているとみられるアパガーデンパレス成田。偽装が発覚した京都市のホテルと同じ建築士が構造計算を担当した=昨年10月、千葉県成田市で、本社ヘリから

 アパグループの京都市の2ホテルで偽装が発覚したのは、このマンションで疑義が生じたことを受け、国土交通省がサンプル調査を始めたのがきっかけ。同じ建築士が手がけた同グループの埼玉県鶴ケ島市の複合マンションも計算書の不備で工事が中断。県が強度不足かどうか検証している。

 「成田」は5棟を組み合わせた12階建て、130戸の複合構造で、田村水落設計(富山市)の水落光男・1級建築士が構造設計を担当。建築確認を出した民間検査機関イーホームズが改めて検証した際に不整合を見つけた。購入契約をした64戸は全戸解約した。

 千葉県の検証では、4棟は強度が十分と判断されたが、残る1棟をめぐり、コンクリートの重さや梁(はり)の鉄筋量の算定に標準と異なる手法が多用されているとする県側と「学術的にも認められた手法」とする水落建築士の見解が対立した。

 このため、県側は日本建築防災協会の委員会に助言を依頼。関係者によると、委員会は県の考え方がより妥当とする意見でまとまったという。

 委員会の意見書は週明けにも正式に県に提出される見通し。県の考え方で再計算すると強度は基準の1を下回るため、県は強度不足と確定し、改修工事による是正を求める方針だ。

 水落建築士は26日の朝日新聞の取材に対して「最初から駄目なものをつくったとは言われたくない。お客さんに迷惑をかけるわけにはいかないので、自分なりの主張をしたうえで県の要望に応える」と話した。アパグループは「県の指導に従って改修を進めたい」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0126/TKY200701260364.html