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2007年01月27日(土) 00時00分

九州大教授が盗作か、学部が調査委設置 教科書にも使用朝日新聞

 九州大大学院芸術工学研究院(福岡市南区)の男性教授(57)が執筆し、同大の学生向けテキストとして使われた書籍が、英国・ケンブリッジ大で出版された英語の書籍に酷似し、芸術工学部が盗作の疑いで調査委員会を設置して調べていることが分かった。全体の構成や、使われている数式、グラフがほぼ同じだという。教授は盗作を否定している。

 同学部によると、問題になっているのは同教授と別の大学の教授が共著で執筆し、02年に講談社サイエンティフィク社が発行した「基礎音響学」。

 05年12月、学部の8教授が連名で「ケンブリッジ大学出版局が発行した『Vibrations and Waves in Physics』(93年)に酷似している。盗作ではないか」との投書を安河内朗・同院長に寄せた。

 安河内院長は教授に「疑惑が指摘されること自体あってはならない」と口頭で厳重注意。教授は書籍を学部1年生の必修科目「音響理論演習」のテキストに使っていたが、やめさせた。盗作かどうかは調べなかった。

 06年7月には、5教授が連名で副学長あてに書面を送付。盗作の疑いに加え、教授がこの英書を大量にコピーして学生に購入させていた、とも記されていたため、学部内に調査委員会を設置し、事実関係を調べ始めた。教授は99年度から3年間、学生約120人に対して1部千円でコピーを販売していたという。

 教授は書籍に、参考図書として英書の書名を記し、「本書の構成のアイデアをいただき、ならった部分も少なくない」と明記。だが、ケンブリッジ大学出版局には許諾を得ていなかった。

 調査委に対し、教授は「翻訳も翻案もトレースもしていない」と説明。調査委は3月末までに盗作かどうか判断して教授会に報告する予定だ。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/SEB200701270004.html