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2007年01月27日(土) 00時00分

「国民の妹」ムン・グニョンの受難朝日新聞

 可愛くて清純そうなほほえみ、賢そうな大きな目——映画俳優ムン・グニョン(20)をスターダムに押し上げたイメージだ。1999年に映画「路上にて」で子役としてデビューした後、「幼な妻」で「国民の妹」と呼ばれ、「アンチ」派がいないことでも知られていた。そんなムン・グニョンの周囲が最近騒がしい。

「大人の女優」への変身を図る「国民の妹」ムン・グニョン

 ムン・グニョンは最近、ある携帯電話会社のテレビCF「&デザイン」で肩から胸へのラインが現われた黒いドレスを着て腰をくねらせて踊った。セクシーな変身を描いたこの広告は、インターネットで急速に広まった。

 しかし、ムン・グニョンがダンサーたちと踊る場面が、アメリカの女性グループ「プッシーキャット・ドールズ」の音楽ビデオ「ボタン」に似ているという盗作疑惑が一部の視聴者から持ち上がった。挿入曲が歌手チョ・ドクペの曲「俺の昔話」に似ているという批判も起こった。

 制作プロダクションは「イメージを借用しただけで、盗作に当たるかは検証が必要だ」という見解。ムン・グニョンに直接の責任はないものの、インターネットには「全然似合わない」「ムン・グニョンはもう終わり」などの批判が書き込まれている。

 ムン・グニョンが初めて大人としての演技を披露した映画「愛なんていらねぇよ」が昨年末の興行で惨敗したところに、エニーコール、KTF、ミスターピザなどのCFにたびたび出演し、露出が過ぎて飽きられたという指摘もある。専門家は、セクシーイメージを突然披露したことに対するファンの拒否感と、CFに多く出演したことによって希少価値が失われたことを挙げた。一方で、子役イメージを脱して大人の俳優として生まれ変わるための正念場だとする見方もある。

 映画評論家のキム・ボンソク氏は「ムン・グニョンが大人の女性としての魅力を見せようとしたことにファンが戸惑っただけ」「ちょっと早いかもしれないが、女優不足に悩む映画界のためにも殻を破ることが必要だ」と言う。他の映画関係者は「突然すぎる変身は論争になることもあり得る。俳優を保護する立場から見ると性急な感じもする」と語る。

 スターを求めつつも、スターが出かかるとそれを否定しようとする大衆心理から見た分析もある。「期待不一致」效果と「カタストロフ理論」だ。文化評論家のキム・ホンシク氏は「ムン・グニョンが永遠に清純でいることを望む大衆の願望が、商業的な変身と盗作疑惑が起こったことから期待不一致の效果をもたらし、好意的に見ていた面があっという間に否定的に変わってしまったといえる」と語った。

 広告マーケティング界やムン・グニョン側は大きな問題にはならないという考えだ。広告代理店イノーションのチェ・ジュンス企画局長は「広告主の立場からは、ムン・グニョンの変身に注目を集めてブランドイメージを刻印させようとする試み自体は悪くない」として「マーケティングの世界では『人々に影響を与えるか』が重要なので、手に入れるものがあれば、捨てなければならないものもある」と言う。

 ムン・グニョンのマネージメントを担当する「ナムアクターズ」のイ・スンゴン室長も「なぜイメージを変えようとするのかと言われるが、変えなければ、むしろ置いていかれるという批判が出る」として「(否定的な書き込みについて)本人は気にしないわけでもないが、ストレスをためない方だ」と述べた。

http://www.asahi.com/culture/korea/TKY200701270101.html