◆公立校調査で 児童・生徒が回答
県教委が公立小・中学校、高校、特殊学校の全372校を対象にした児童・生徒へのいじめに関するアンケートで、回答者の4・8%が「今もいじめられている」と答えていたことがわかった。文部科学省の定義にとらわれず、本人がそう受け取ったものを「いじめ」とみなし、回答してもらった。調査結果は、各校に通知される。
●教員調査の32倍
05年度に全公立校の教員が調査し、文科省に報告した県内のいじめの件数は児童・生徒の0・15%で、今回の結果はその32倍になる。県教委は「教員が認識している以上に、児童・生徒はいじめを敏感に感じている」とみている。
調査は昨年12月に実施。匿名、選択方式(一部自由記述)のアンケートで、13万9307人から回答を得た。回答率は96%だった。
「一方的、継続的」といった文科省の定義ではなく、子ども自身が昨年9月(2学期)以降に、いじめと感じたものを答えさせた。
●「いじめられた」19%
「いじめられた」児童・生徒の割合は平均で19%。小学校低学年(1〜3年)では32%で、そのうち約3割が「今も続いている」と答えた。同高学年(4〜6年)は23%、中学校11%、高校4%だった。
いじめられた内容は、どの年代でも「嫌なことば」が一番多く、「からかい」や「仲間はずれ」が上位にあがった。
いじめを受けても誰にも相談しなかったのは、小学校低学年で27%、同高学年で36%で、中学、高校はともに45%だった。
「クラスの中で誰かがいじめられているのを見たらどうするか」との問いには、小学校低学年の50%が「やめるように言う」と答えたが、同高学年では39%、中学、高校ではそれぞれ25%と減少した。
また、小学校低学年の5%、同高学年の20%、中学校の45%、高校の48%の児童・生徒が「かかわらないようにする」と答えた。
●いじめ防止に年代差
いじめを「絶対にしてはいけない」は小学校低学年で74%、同高学年で68%、中学校で59%、高校で61%と、年齢が上がるとともに低下する傾向があった。
「いじめをなくすには何が大切か」を聞いたところ、小学校低学年では「気づいたらやめるように言う」が58%でトップ。しかし、年齢が上がるとともに低下し、高校では19%だった。
小学校高学年から高校にかけては「いじめをしないクラスづくり」が最も多く、中学、高校では「いじめる人が態度などを直す必要がある」という生徒がそれぞれ30%いた。
県教委は「子どもが感じているいじめ件数は予想以上に多かった。実態を把握し、改善に向けての具体的な対応や、いじめについて教師と児童・生徒で話し合うための教材づくりに役立ててほしい」としている。
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