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2007年01月27日(土) 00時00分

耐震偽装 県、本格調査に着手朝日新聞

聞き取り・現場確認も

 田村水落設計(富山市)の水落光男・1級建築士が手がけた京都市のホテルで耐震強度の偽装が見つかったとされる問題で、県や富山市などは26日、対象物件の本格的な調査を始めた。石井隆一知事は定例記者会見で遺憾の意を表明するとともに、水落建築士からの聞き取りなど徹底した調査をする考えを示した。

 35件の対象物件がある県は、四つの土木センターがそれぞれ管内の建物の確認申請書類を保管している。その中から、該当する書類を探すための作業に追われた。

 富山市は73件を調査対象としている。市建築指導課には、市民から「壁が薄い気がするが大丈夫か」などと心配する電話相談もある。同課は「通常業務もきちんとこなす必要がある。みなさんの不安を取り除けるように並行しながら調査していく」と話す。必要な場合は、他の課からも応援を得られる態勢を整えているという。

石井隆一知事はこの日の定例会見で「本当に遺憾なこと。出来るだけ早く調査を行って対応したい」と話した。

 石井知事は「書類だけ見ればいいというものでは無い」との認識を示し、「調査過程で建築士に確認しなければいけないことが出てくれば、話を聞くことはある。ケースによっては現場に行って、本当に図面通りかチェックするのだと思う」と、書面にとどまらず徹底した調査を行いたい考えを示した。

 また、田村水落設計の事務所登録の取り消しなど行政処分の可能性については、「(県内で)偽装など問題があれば、場合によってはそういうこともあるかもしれない」と話した。

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田村水落設計関与
富山大に4件

 富山大学には田村水落設計が手がけた建物が4件あることが、26日わかった。対象物件は五福キャンパスのエレベーター外壁と杉谷キャンパスの病院調理室、核磁気共鳴(NMR)施設、受水槽基礎。いずれも97年から03年ごろにかけて建てられた。

 エレベーター外壁は5階建てで、4階建てと5階建ての二つの校舎を結ぶ渡り廊下を拡張する形で建設された。建物に完全に挟まれる形になっていて、01年の完成後、特に不具合が出たことはないという。

 同大学施設企画課によると、存在を確認したのは25日。耐震偽装発覚の報道を受けて、対象物件がないか調べていたところ、県から4件あるのではないかと指摘を受けたという。

 同課は「4件は平屋だったり、別の建物に固定されていたりで、安全に問題はないと考えている。現在、行政が進めている安全確認の結果を待ちたい」と話している。

http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000701270003