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2007年01月27日(土) 00時00分

本庄中3自殺 いじめ原因とみとめず朝日新聞

◇市教委最終報告に遺族「納得できない」◇

 本庄市立本庄東中の3年男子生徒(当時14)が昨年11月に自殺した事件で、同市教育委員会は26日、1月定例会で「いじめが自殺の一因とは言えず、原因は特定できない」と結論づけた自殺事故調査の最終報告をした。生徒の両親は「到底納得できる内容ではない」と市教委の姿勢を厳しく批判している。

 調査結果によると、男子生徒は2年生の時、同じ学級の男子生徒から金銭を数回にわたって要求されて、計1500円を渡した。また、肩を殴られたこともあり、同級生からの「いじめ」があったと認定できるとした。

 しかし、自殺した男子生徒は、3年になってからは、度重なる金銭要求に応じていない。「不快だ」と感じていたのは確かだが、強者と弱者との関係も見られなかった。2人の関係から自殺に直接つながる事実は得られず、「自殺原因は特定できない」と結論づけた。

 市教委は「遺書がなく、いじめが自殺の原因であるとまでは言えない」と判断。県教委や文科省への報告では、自殺の原因としては「その他」として、「いじめ」を含まない意向を明らかにした。

 学校側の対応については、生徒が金銭要求の悩みを校内相談員らに訴えたのに迅速な対応をしなかったことに「反省すべき点がある」としたが、経緯などの詳細は記載しなかった。

 茂木孝彦教育長は報告後、記者団に「遺族にとっては、納得できない部分もあるかもしれないが、我々は精いっぱい努力した」と述べた。

 定例会には、男子生徒の両親も傍聴に訪れた。報告が終わると、両親は顔を真っ赤にして飛び出した。

 市教委が事前に両親に手渡した報告書は、A4用紙3枚。自宅で取材に応じた両親は、「こんな紙切れで終わっちゃうのという感じ。これでは真実が明らかになっていない」と、強い憤りを示した。

 男子生徒が同級生に、自殺した翌日までに現金を持って来るよう要求されていたことなど、調査で分かった事実が反映されていないことに触れ、「経過をきちんと明らかにしないと、同様の事件の防止に役立たない」と指摘した。

 同事件は、昨年11月12日、男子生徒が自宅で自殺。遺書は見つからなかったが、翌13日に学校側が会見で、男子生徒が同級生に金銭を要求されていたことを明らかにし、「いじめがあった」との認識を示した。市教委は同12月、「原因の特定は困難」とする中間報告をまとめていた。

〈 解説 〉

 本庄市の中3自殺事件の原因究明に取り組んでいた市教委は26日、校内にいじめがあったことを認めたものの「自殺との因果関係は特定できない」と結論づける最終報告書をまとめた。その内容は、学校の対応など事件の核心とされる部分があいまいで、遺族の学校側への不信感をさらに増幅させることになった。

報告書には「調査は学校教育の範囲に限定される」とのただし書きがある。もともと学校の調査能力に限界があることを断った上で、原因特定は警察の捜査に委ねたいとする本音が見える。

そうであるなら、自殺直前の少年と校内相談員の間で交わされた会話など学校側の対応の具体的な中身をもっと明らかにするべきだった。だが、報告書ではこの部分にほとんど触れられていない。「いじめに当たる」と認定した自殺少年と同級生との金銭のやり取りや、専門家による心理分析に多くの記述が割かれているのと対照的だ。

遺族側には、学校側に相談したのに適切な指導が取られなかったことに対する不満がより強い。問題の所在を認識しながら、なぜ手を打つのが遅れたのか。核心部分をぼやかしながら「学校対応には反省すべき点がある」だけでは、わざわざ報告書に盛り込んだ9項目の再発防止策も単なるスローガンの羅列に終わってしまう。

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000701270001