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2007年01月27日(土) 00時00分

不二家泉佐野工場 大腸菌検出回収せず 東京新聞

 不二家の泉佐野工場(大阪府泉佐野市)が昨年十月、出荷したシュークリームやエクレアから、食中毒を引き起こす恐れのある大腸菌が検出されたのに回収していなかったことが二十六日、大阪府の調査で分かった。 

 国の衛生規範は大腸菌群などが検出された洋生菓子の販売を一切認めていない。出荷個数は不明という。

 不二家は洋菓子回収基準を独自に設定していたが、泉佐野工場のマニュアルは回収対象となる大腸菌数を、本社が設定した基準より十倍も緩い「一グラム当たり十万個」としていたことが工場が府に提出した報告書で判明。

 消費・賞味期限切れの液卵や生クリームなどの原材料を使ったケーキなどの出荷個数は昨年二月から八月までに計約二十五万三千個、細菌数を確認せずに出荷していたケーキやシュークリームは、昨年五−九月で計約二万五千個だった。

 府は、報告の内容確認や改善指導のため、二十九日に泉佐野工場に立ち入り検査する。

 府によると、昨年十月五日に完成品から抽出したシュークリームで、一グラムにつき大腸菌千個、エクレアで二百個を検出。同月十二日にもシュークリームで千個を検出した。

 検査結果が出るのは翌日のため、製品は既に出荷。

 不二家は設定した菌数以下の場合は販売しても構わないとしていることから、回収しなかったとみられるという。

 泉佐野工場が提出した報告書には大腸菌検出製品出荷の記載はなかったが、府が検査記録などを調べ突き止めた。府の指導目標では、菌の数が一万個未満であれば、減らす努力を求めると事実上容認しており、府は「健康被害は考えにくい」としている。

 また、不二家本社の基準では洋菓子に使われる酵母について「一グラムあたり千−十万個は現場に注意、十万個超については工場長に報告、対応を検討」と書いてあるが、泉佐野工場のマニュアルにはこうした記載がなかった。

 回収基準緩和について、泉佐野工場は府に「本社が設定した数字については修正していない」と説明しているという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070127/mng_____sya_____004.shtml