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2007年01月27日(土) 00時00分

湯沸かし器事故 パロマきょう強制捜査 東京新聞

 東京都港区のアパートで二〇〇五年十一月、不正改造されたパロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器を使用した大学一年の上嶋浩幸さん=当時(18)=が一酸化炭素(CO)中毒死した事故で、警視庁捜査一課は二十七日にも、業務上過失致死などの疑いで、同社や親会社のパロマ本社など関係先を家宅捜索する方針を固めた。

 パロマ工業製ガス湯沸かし器をめぐっては、繰り返し不正改造された機器で死亡事故が発生したが、製品の回収は行われていなかった。同課は同社やパロマ幹部らの対応に問題がなかったかどうかなど、実態を解明するには強制捜査が不可欠と判断。同社幹部らへの刑事責任追及に向け、詰めの捜査を進める。

 調べでは、パロマ工業は、同社のガス湯沸かし器が不正改造され、CO中毒による死亡事故が相次いでいることを知りながら、事故を防ぐ十分な対応を取らず、〇五年十一月二十八日、港区のアパートで同社製湯沸かし器を使用した上嶋さんをCO中毒死させるなどした疑いが持たれている。

 上嶋さん方の湯沸かし器は、コントロールボックス内の「はんだ割れ」が原因で安全装置が働き、点火しにくい状態となっていた。このため、安全装置が作動しなくなる不正改造が行われていた。改造は、目黒区のパロマサービスショップの担当者が十数年前に行ったとみられる。

 パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器をめぐっては過去に二十八件の事故が発生し、二十一人が死亡している。同社によると、一九八七年の北海道苫小牧市で起きた死亡事故以降、少なくとも十六件は、発生から数日間のうちに小林敏宏社長(69)に報告されていた。

 小林社長は昨年七月末の会見で「記憶はないが、事故は八七年に聞いていたんじゃないか」と話していた。

<メモ>パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器による事故 昨年7月、1996年の東京都港区赤坂の事故で死亡した男性の遺族の要望で、警視庁が再捜査し発覚。経産省などの調べで同社製の湯沸かし器をめぐる事故は、85年から全国で28件発生し、21人の死亡が確認された。このうち18人が不正改造にかかわる事故で亡くなっていた。このうち2005年の上嶋浩幸さんの死亡事故が、業務上過失致死罪の公訴時効(5年)を迎えていない唯一のケースだった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070127/mng_____sya_____003.shtml