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2007年01月26日(金) 00時00分

不二家 食中毒菌出ても販売可 東京新聞

 大手菓子メーカー「不二家」が、洋菓子から食中毒を起こす恐れがある大腸菌群や黄色ブドウ球菌が検出されても、独自に設定した社内基準値以下であれば販売して構わない、とマニュアルで定めていたことが二十五日、分かった。 

 一九八三年に厚生省(当時)が製造業者向けに定めた「洋生菓子の衛生規範」では、大腸菌群や黄色ブドウ球菌が見つかった製品は一切販売できないことになっている。マニュアルは一般生菌数についても、規範より十倍も甘い「一グラム当たり百万個以下」に設定しており、同社のずさんな衛生管理の実態が浮き彫りになった。

 規範に定めた基準値は、努力目標で違反しても罰則はないが、厚生労働省は「にわかに信じ難い話だ。どうしてこのようなマニュアルを作ったのか、きちんと説明してほしい」(食品安全部)とし、東京都も不二家本社から事情を聴いている。

 不二家をめぐっては、一九九五年に泉佐野工場(大阪府)で製造した洋菓子を食べた九人が黄色ブドウ球菌による食中毒症状を訴えたが、同社は事実を公表していなかったことが分かっている。

 問題の記載があったのは、各工場が備え付けている「食品衛生マニュアル」の「細菌検査」と題するページ。製造時の検査で細菌が見つかった場合の対応を記している。

 それによると、一グラム当たりの「大腸菌群」は千個未満なら「製造現場に注意、改善指導する」、千個を超えたら「工場長に報告し、対応を検討」と規定。一万個を超えた場合に初めて「回収を要する」としている。

 黄色ブドウ球菌は、百個未満で「製造現場に注意、改善を指導」、百個を超えたら「工場長に報告し、対応を検討」、千個を超えたら「回収を要する」となっている。

 マニュアル上の管理責任者は各工場長で、病原性大腸菌O157が見つかった場合だけ緊急体制を取り、本部(本社)へ連絡するとしている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070126/mng_____sya_____007.shtml