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2007年01月26日(金) 16時38分

偽装ホテル、設計変更の書類未提出 京都市が立ち入りヘ朝日新聞

 富山市の建築士が手がけたアパグループの京都市内のホテル2棟で耐震強度が偽装だったとされる問題で、強度不足が指摘された「アパホテル京都駅堀川通」の大浴場の当初計画が変更されたにもかかわらず、必要な構造計算の再計算書が市に提出されないまま施工されていたことがわかった。市は建築基準法違反の疑いが強いとみており、2ホテルの施工状況や安全性を確かめるため、近く立ち入り調査する方針を決めた。

 市によると、同ホテルは03年8月に建築確認を受けて着工。04年末に最上階の11階にある大浴場と客室の間取りを変えることを決め、建築確認を再度、申請した。大量の水を使い、床にかかる荷重が変わるため、浴場の間取りを変更する際は建築基準法で構造計算の再計算が義務づけられているが、担当した設計事務所「タスク研究所」(東京)が書類を提出せず、民間検査会社の京都確認検査機構(京都市)も不備を見落としたという。

 同研究所は田村水落設計(富山市)に構造計算を委託していた。京都市の聞き取りに、同研究所は「田村水落設計から再計算の書類はもらっていない」とし、田村水落設計は「再計算したが、書類は残っていない」と説明しているという。市の担当者は「意図的なのかは判断できないが、違反行為があったのは明らか」とみている。

 市は2ホテルの建築主の「アパマンション」に速やかな使用の禁止と改修工事を勧告し、是正計画書を2月23日までに提出するよう求めている。勧告に従わない場合は建築基準法に基づく是正命令も検討する。

 2棟の建築確認をした京都確認検査機構についても、市は「偽装を見逃したと言わざるを得ない」と指摘。国土交通省が処分を含めた厳正な対応をする見通し。

http://www.asahi.com/national/update/0126/OSK200701260049.html