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2007年01月26日(金) 23時10分

三洋電機の洗濯乾燥機から発火7件 16万台リコール朝日新聞

 三洋電機は26日、04年以降に無償修理(リコール)した洗濯乾燥機が修理後にも発火、利用者がやけどを負う事故が起きていたと発表した。問題の製品は16万4000台に上り、全対象機種を無償修理する。同社は無償修理後の発火を公表しておらず、同日、経済産業省の指導を受けて公表した。同省は「修理が終わるまで乾燥機能を使用しないように」と呼びかけている。

会見を終え、頭を下げながら席を立つ三洋電機の有馬秀俊取締役(中央)ら=26日午後7時6分、大阪市北区で

発火する恐れがある4機種のうちの2機種。約10万台販売したAWD—A845Z(左)と、約5万7千台販売したAWD—B860Z

 発火事故は最初のリコール前の3件を含む計7件。問題の機種は、乾燥とスチーム洗浄機能を使う際、配線とヒーターの制御回路の接合部分(2カ所)が過熱、回路を覆うナイロン製の被膜に引火する恐れがある。

 問題の機種は02年から04年にかけて販売された。3件の発火トラブルが起きたため、04年9月に不具合を発表。配線の接合部を修理し、カバーを不燃性のものに交換する無償修理に踏み切った。

 だが、05年4月、甲府市で修理後の機種から発火、1人がやけどを負った。この機種は、カバーの交換など、決められた通りの修理がされていなかった。また、リコール後に発火した残りの3件は未修理機だった。

 発売時、カバーに引火の可能性があるナイロンを使っていたことについて、大阪市内で記者会見した有馬秀俊取締役は「設計上安全に関する考え方が甘く、事前の検証も不足していた」としたが、設計ミスは否定した。

 また、公表が遅れた理由については「修理済み品2600台を再調査したところ同様の修理ミスはなく、再修理は必要ないと判断した」と説明。

 だが、06年11月と12月に未修理機の発火が相次ぎ、経産省が修理体制の強化を指導。修理済み機を含め、すべてを再点検・無償修理することを決めた。対策にかかる費用は2億5000万円程度という。

 同社は27日から該当機種の使用者向けにフリーダイヤル(0120・34・3226)を開設するほか、ダイレクトメールでも修理を呼びかける。転居した人には、従業員が市役所などに出向いて転居先を調べる。

 経営再建中の三洋にとって、洗濯乾燥機は家電部門では数少ない「看板商品」だけに、イメージ低下による業績への影響は避けられない。

■三洋製洗濯乾燥機の無償点検・修理の対象機種

【機種】      【発売時期と対象台数】

AWD—A845Z  02年4月〜03年10月▽9万9320台(すべて)

AWD—B860Z  03年6月〜▽5万7787台(一部)

AWD—S8260Z 03年6月〜▽4766台(一部)

AWD—U860Z  03年8月〜▽2491台(一部)

■三洋製洗濯乾燥機が原因の発火事故

04年7月(群馬県太田市) 製品が焼損

04年8月(東京都千代田区) 製品が焼損

04年8月(福島県相馬郡) 製品が焼損

04年9月 リコールを発表

05年4月(甲府市) 木造民家の脱衣所・風呂場が延焼。家人がやけど

06年2月(茨城県土浦市) 洗面所・風呂場などが延焼

06年11月(三重県伊勢市) 製品が焼損

06年12月(鳥取県米子市) 風呂場の一部が焼損

※三洋電機調べ

http://www.asahi.com/national/update/0126/TKY200701260296.html