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2007年01月25日(木) 00時00分

「無届け解体」横行で千代田区「石綿なし」でも全棟調査読売新聞

 アスベスト(石綿)を使用した建物の違法解体を防ぐため、東京都千代田区は4月から、「石綿は使用されていない」と業者側が申告した建物についても、全棟に対し独自の石綿含有調査を行う方針を決めた。

 石綿を使った建物を解体する場合、届け出をしたうえ飛散防止措置をとることが義務づけられているが、実際には無届け解体が横行していると見られている。千代田区は、全国初と見られる全棟調査により違法解体を摘発し、悪質業者は建設リサイクル法違反容疑などでの刑事告発も辞さない構えだ。

 国土交通省によると、石綿が多用された1955年ごろから80年代後半までに建てられた床面積1000平方メートル以上の民間建築物は25万棟以上。石綿を使用した建物を解体する際は、同法などに基づき、労働基準監督署や自治体へ届け出を行わなければならない。しかし建物をシートで覆うなどの飛散防止措置には多額の費用がかかるため、無届け解体は多いとされる。

 例えば千代田区の場合、2005年度中の床面積80平方メートル以上の建物の解体件数は269件。うち34件については建てられた時期や構造から、石綿使用が強く疑われたが、業者側が申告したのは6件だけだった。同区の担当者は「2割しか正直に申告していない可能性があり、作業員や周辺住民への健康被害の恐れがある」と指摘する。

 このため同区は「石綿は使用せず」と業者が申告してきた80平方メートル以上の建物全棟に対し、職員が現場で石綿使用の有無をチェックすることにした。環境省や厚生労働省は「全国でも聞いたことがない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20070125hg04.htm