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2007年01月25日(木) 00時00分

【湖南】 5被告に懲役刑求刑 「意庭匠」産廃不法投棄 廃棄物の不法投棄が繰り返された現場=大津市石山内畑町で 中日新聞

 京都市伏見区の造園会社「意庭匠」による産業廃棄物の不法投棄事件で、廃棄物処理法違反の罪に問われた京都府宇治市、元従業員白在根被告(60)ら5人の初公判が24日、大津地裁(大崎良信裁判官)であり、5人はいずれも起訴事実を認めた。検察側は白被告に懲役3年、罰金300万円、他4被告に懲役1年6月から3年、罰金100万円から200万円を求刑。弁護側は情状酌量を求めて結審した。

 検察側は論告で「広大な土地に長年にわたり産業廃棄物を捨てた計画的犯行。汚泥の流出は今も続き、環境に与えた影響は大きい。今後も原状回復の見込みはない」と指摘した。

 起訴状によると、5人は共謀し、2003年11月−06年2月にかけて、大津市石山内畑町の山林に油分を含む汚泥を約150トン、廃プラスチック約220トンなどを捨てた。

 
◇大津の琵琶湖国定公園に400トン 撤去の道筋見えず

 不法投棄の舞台となった大津市石山内畑町。「琵琶湖国定公園」の山林の一角には、400トンの産業廃棄物が残る。罪は裁かれても、撤去の道筋は見えない。

 現場には、12万立方メートルに及ぶ建設残土がうずたかく積まれている。地面からはプラスチック廃材の破片が顔を出し、周囲には無数のコンクリート片が転がる。雨が降ると油分を含む水が地中から染み出してくる。

 同町の主婦(73)は「昔は美しい棚田だったのに」と嘆く。「毎日ダンプが出入りしていたけど、塀に囲まれて見えなかった」

 冒頭陳述などによると、意庭匠が建設残土を引き受け始めたのは2003年7月。しかし思うように利益が上がらず、同11月から産廃である汚泥を、翌4月には廃プラスチックを投棄した。昨年2月に県職員が発見するまで、不法投棄は2年半に及んだ。

 事態に気付くチャンスはあった。04年2月、意庭匠は伐採した木々の焼却を消防に届け出ており、同4月には県から焼却を中止するよう指導を受けている。

 産廃に気付かなかった理由を、県廃棄物監視取締対策室は「住民の通報がなかった。容疑がなくては捜査はできないし、県内の現場すべてを見張りきれない」とする。

 撤去を代わって行う行政代執行については「税金での撤去は捨てた者が得をするだけ」との立場を示す。

 この日の被告人質問では、意庭匠関係者は5人とも「何とかして産廃を取り除きたい」と答えたが、その方法や資金については、あいまいな返答に終始した。

 これまでに逮捕された関係者は12人。県は事件の全容が明らかになり次第、排出業者にもさかのぼって現状回復を要求する構えだ。

 ある県警幹部は「撤去できる人間を行政に引き渡すのがうちの役割」と語る。産廃の山の行方は、今後の捜査にもかかっている。


http://www.chunichi.co.jp/00/sga/20070125/lcl_____sga_____000.shtml