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2007年01月25日(木) 14時53分

不二家、回収基準は「細菌100万個」国の10倍緩い読売新聞

 ずさんな商品管理が相次いで明らかになっている大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)の洋菓子工場で、商品を自主回収する社内基準が、国の衛生基準より10倍も緩い「1グラムあたりの細菌数が100万個超」と設定されていたことがわかった。

 同社ではこれまで社内基準について、「1グラム当たり10万個超の場合は出荷を停止し、商品を回収」と説明していた。厚生労働省などは、「10倍というのは通常では考えられない」と驚いており、同社の甘い衛生管理の実態がまた浮き彫りとなった。

 不二家によると、札幌や埼玉など五つの洋菓子工場の食品衛生マニュアルでは、細菌が製品1グラム当たり10万個を超えた場合、「工場長に報告し、対応を検討する」と規定。「回収を要する」のは100万個を超えた場合としており、これまでの「10万個超」という説明とは食い違っていた。

 一方、厚生労働省が定めている洋菓子の衛生基準は、「細菌数は、製品1グラムにつき10万個以下」で、これを超えた場合は「販売しないこと」としている。衛生基準に法的な拘束力はないが、同省は、「小さな菓子工場から大企業まで、守るべき最低限の目安」と位置づけている。他の洋菓子メーカーでは、回収の社内基準を「1万個超」と、国の基準より厳しくしている企業もある。

 同省は「100万個を超えたら回収という不二家の基準は、いったいどういう意図で決められたのか」と驚きを隠さない。

 「100万個」とするマニュアルは、埼玉工場(埼玉県新座市)、泉佐野工場(大阪府泉佐野市)、札幌工場(札幌市)に対する自治体調査で確認された。このうち札幌市の担当者は、「国の基準より、細菌数が10倍も多くないと回収しないというのは、普通では考えられない」と話す。

 同市によると、立ち入り検査の際、札幌工場側は「マニュアルは本社が作った」とだけ説明、なぜ回収基準が100万個に設定されているのか理由を答えられる人がいなかったという。

 不二家本社も「なぜ、そうした基準になっていたのか分からない。(回収基準が10万個超という説明は)勘違いしていたのかもしれない」と話している。

 同社では、埼玉工場で、国の基準の64倍もの細菌数の洋菓子が出荷されていたほか、札幌工場では、検出した細菌数を確認せずに出荷していたことが判明している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070125i206.htm?from=main2